『追放された転生重騎士はゲーム知識で無双する』のエルマは、攻撃力が低いはずの重騎士で剣聖マリスや格上の魔物を倒していきます。
この記事では漫画版のエルマのスキル構成を、〈城壁返し〉〈死線の暴竜〉〈影踏み〉〈ライフシールド〉〈不惜身命〉の組み合わせという視点で考察します。
マリス戦の逆転コンボの仕組み、HPが減るほど強くなるハイリスク型ビルドの意味、今後取得しそうなスキルの予想までをまとめました。
重騎士が不遇とされる理由や、スキルツリー三枠の基本ルールについては『追放された転生重騎士 世界観・設定まとめ|重騎士と加護の儀を解説』で整理しているので、先に読んでおくとこの記事の話がすっと入ってきます。
なお本文は漫画版4巻以降の展開と、その先の原作の内容に触れるため、ネタバレ注意です。
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エルマのスキル構成一覧|スキルツリー三枠と取得順
まずはエルマが持っているスキルを、取得した順番に並べておきます。
スキル名と効果、取得タイミングは「小説家になろう」の原作本文に表示されるステータス画面を基準にしています。
エルマのスキルツリーは〈重鎧の誓い〉〈初級剣術〉〈燻り狂う牙〉の三つです。
最初は〈燻り狂う牙〉の位置に〈防御力上昇〉が入っていましたが、〈燻り狂う牙〉の書を手に入れた時点でエルマは迷わず〈防御力上昇〉を消しています。
ステータス上昇系はレベルが上がれば賄えるので振るべきではない、というのがエルマの判断です。
〈重鎧の誓い〉から取得したスキル
重騎士専用ツリーの〈重鎧の誓い〉では、2ポイントで〈城壁返し〉、5ポイントで防御力+10、10ポイントで〈ディザーム〉、15ポイントで〈パリィ〉を取得しています。
続いて20ポイントで〈影踏み〉、27ポイントで〈シールドバッシュ〉、34ポイントで〈ライフシールド〉、41ポイントで〈プロテクト〉です。
〈初級剣術〉と〈燻り狂う牙〉から取得したスキル
〈初級剣術〉は5ポイントで止めていて、取得しているのは〈当て身斬り〉だけです。
〈当て身斬り〉はゼロ距離から剣の腹で殴りつける技で、防御力の高い相手にもダメージを通しやすいという効果を持っています。
作中では〈初級剣術〉の中でも外れ扱いのスキルとされていますが、攻撃を耐えながら確実に削る重騎士の戦い方とは噛み合っています。
そして〈燻り狂う牙〉は、5ポイントで特性スキル〈死線の暴竜〉、15ポイントで〈不惜身命〉を取得します。
エルマ自身が、〈燻り狂う牙〉はコンボ前提なのでスキルが揃うまでは安定しないと話しており、このツリーは単体で強いのではなく、〈重鎧の誓い〉のスキルと組み合わせて初めて完成する設計になっています。
〈死線の暴竜〉と〈ライフシールド〉|マリス戦の凶悪コンボの仕組み
この作品のスキルの組み合わせで最も話題になるのが、剣聖マリスとの決闘で見せた逆転のコンボです。
漫画版では3巻でマリス戦が始まり、4巻の紹介文で新スキル「死線の暴竜」によって防御特化の重騎士が攻撃特化以上のアタッカーに変身すると予告されています。
原作で〈死線の暴竜〉の効果は、残りHPが20%以下の場合に攻撃力と素早さを100%上昇させる、と表示されます。
つまり条件さえ満たせば、重騎士の弱点である攻撃力と素早さがそのまま倍になるわけです。
〈死線の暴竜〉単体では使い物にならない理由
ただしエルマの前世のゲーム〈マジックワールド〉では、このスキルは一発逆転が好きなエンジョイ勢しか使わないものだったと語られています。
理由は三つあります。
一つ目は、死亡時のレベルダウンが大きく、発動を狙って一つ手違いがあれば効果が出る前に倒されてしまうことです。
二つ目は、強敵は一撃でHPの半分近くを削ってくるので、20%以下という狭い範囲にHPを止めること自体が難しいことです。
三つ目は、魔法力は上がらないため、HPがほぼない状態で近接戦をしなければならないことです。
〈ライフシールド〉が発動条件とリスクを同時に消す
この弱点をまとめて解決するのが、〈重鎧の誓い〉の〈ライフシールド〉です。
〈ライフシールド〉は、最大HPの20%を支払い、支払ったHPと同じ耐久値を持つシールドで全身を覆うスキルです。
HPが40%以下になったところで〈ライフシールド〉を使うと、自分でHPを20%削ることで〈死線の暴竜〉の条件を満たし、しかも削った分がそのまま盾として残ります。
運任せだった発動条件を自分の操作で満たせるうえに、一撃死の不安まで盾で埋められるので、エルマはこれを〈死線の暴竜〉の効果を根底から覆す凶悪なコンボだと表現しています。
〈番狂わせ〉で上昇率は115%に届く
さらにエルマは、〈夢の主〉討伐で得た称号〈番狂わせ〉を持っています。
〈番狂わせ〉はレベルが上の相手と戦うときに攻撃力と素早さを15%上げる称号で、〈死線の暴竜〉と合わせるとマリス戦での上昇率は115%になります。
剣聖と重騎士では、近接戦で重要な攻撃力と素早さに通常時で倍ほどの差があると説明されていたので、この時点でステータスの不利は消えたことになります。
最後の一撃が攻撃系のスキルではなく〈シールドバッシュ〉だった点も見逃せません。
〈シールドバッシュ〉は防御力と攻撃力の半分を足した値で押し合うスキルで、剣聖は防御力が低いうえに、この時のエルマは攻撃力が倍になっていたため、マリスはギルドの端から端まで弾き飛ばされました。
〈影踏み〉〈パリィ〉〈狂鬼の盾〉|暴竜の前に仕込んだ下ごしらえ
マリス戦は〈死線の暴竜〉の発動シーンばかりが注目されますが、本当に巧いのはその前半です。
エルマはこの戦いで、マリスの切り札〈金剛連撃〉を見ておくこと、マリスの決定的な隙を見つけること、そして自分のHPを4割以下に調整することの三つを同時にこなしていました。
マリスの武器の性能を記憶から引き出し、受けたダメージと照らし合わせながら、HPを狙った数値まで減らしていたのです。
〈影踏み〉はゴム紐のように引き戻すスキル
前半でマリスに一撃を入れた場面は、〈影踏み〉と〈狂鬼の盾〉と〈当て身斬り〉の小さなコンボになっています。
原作での〈影踏み〉の説明は、対象の影を踏んで逃げられなくする、ただし足が少しでも浮いた場合は解除される、というものです。
エルマは盾でマリスの攻撃を受けた瞬間に影を踏んでおき、マリスが距離を取ろうと大きく後ろへ跳んだところで、影に引っ張られて体勢が崩れました。
その場に縫い止めるのではなく、離れようとした分だけ引き戻されるという描写なので、ファンの間で言われる「縛った地点とゴム紐でつながっている」という見立ては描写とよく一致していると思います。
ここで気になるのが、跳んだマリスの足は浮いているのに、なぜ解除されなかったのかという点です。
筆者は、解除条件の「足」は踏まれている側ではなく、影を踏んでいるエルマ自身の足を指していると読んでいます。
そう読むと、エルマが地面に立ち続ける限り拘束は続き、エルマが跳んだり体勢を崩されたりすると切れる、という重騎士らしい条件になります。
実際にエルマは、攻撃を当てたあと自分から〈影踏み〉を解除して後ろへ下がっているので、拘束の主導権は踏む側にあると考えるのが自然です。
〈狂鬼の盾〉の攻撃力補正と〈当て身斬り〉
崩れたマリスに入れたのが〈当て身斬り〉で、ここに〈狂鬼の盾〉の効果が乗っています。
〈狂鬼の盾〉は、盾で相手の攻撃を防いだ場合に、同じ相手への次の攻撃へ攻撃力+8を付与する装備です。
盾で受ける、影を踏む、相手が逃げようとして崩れる、補正の乗った〈当て身斬り〉を入れる、という流れが一度の防御から生まれているわけです。
〈パリィ〉の成功条件と〈城壁返し〉の違い
ファンの間では、盾受けやパリィの成功条件がはっきりしないという仕様談義もよく起きています。
原作の説明文を並べると、三つの防御は条件がはっきり分かれています。
〈城壁返し〉は相手の近接攻撃の直撃を受けてダメージを封殺できた場合に発動し、エルマは〈狂鬼の盾〉を手に入れた場面で、発動条件は鎧で受けることなので盾では満たせないと整理しています。
〈狂鬼の盾〉の補正は、盾で攻撃を防いだ場合に乗ります。
一方〈パリィ〉の説明は、剣や盾で相手の攻撃を受け流し、隙を作る、という一文だけで、数値的な成功判定は書かれていません。
そのかわり、使用者の知識と技量への依存が大きく扱いにくいと言われていた、と補足されています。
つまり〈パリィ〉はステータスで成否が決まるスキルではなく、相手の攻撃のタイミングを知っているかどうかで成否が決まるスキルとして描かれているのだと思います。
説明文があいまいなのは設定の穴というより、ゲーム知識で攻撃の型を覚えているエルマだけが本来の性能を引き出せる、という作品の構造そのものではないでしょうか。
〈城壁返し〉〈シールドバッシュ〉〈不惜身命〉|防御力を攻撃に両替する三つの窓口
エルマのスキル構成を並べてみると、重騎士の高い防御力を攻撃力に変える仕組みが三つ用意されていることに気づきます。
筆者はこれを、防御力という通貨を攻撃力に両替する三つの窓口と呼びたいと思います。
第一の窓口〈城壁返し〉は格下専用
最初の窓口が〈城壁返し〉で、ダメージを封殺できた場合に防御力に応じたダメージを返します。
ただし原作のダメージ計算式は「攻撃力から防御力の半分を引く」形なので、完封できる相手は基本的に格下に限られます。
第二の窓口〈シールドバッシュ〉は押し合いの換算
二つ目が〈シールドバッシュ〉で、防御力と攻撃力の半分を足した値で押し合います。
防御力が丸ごと計算に入るので、防御力の低い剣聖のようなクラスには特によく効き、壁や床に打ち付ければダメージにもなります。
ここで面白いのは、〈死線の暴竜〉で攻撃力が倍になると、この窓口の換算額まで上がることです。
マリス戦の決め手が〈シールドバッシュ〉だったのは、二つの効果が重なった結果だと考えられます。
第三の窓口〈不惜身命〉は全額両替
三つ目が、〈燻り狂う牙〉15ポイントで取得する〈不惜身命〉です。
〈不惜身命〉は残りHPが50%以下のときだけ使え、防御力を0にして、減らした値だけ攻撃力を上げるスキルです。
攻撃特化クラスは防御力が攻撃力の半分ほどしかないので上昇幅は5割程度ですが、重騎士は防御力が攻撃力の倍あるので、使った瞬間に攻撃力が実質3倍になると説明されています。
しかも〈不惜身命〉は〈死線の暴竜〉と重複し、〈不惜身命〉の上昇が先に計算されます。
結果として「攻撃力と防御力の合計を倍にした値」が攻撃力になり、原作のデスアームド戦では攻撃力40、防御力73から攻撃力226まで跳ね上がっています。
漫画版では5巻の紹介文で、存在進化した強敵を相手に一撃でも喰らえば即死亡という状況で重騎士の新スキルが発動すると予告されており、原作の流れと照らすとこの〈不惜身命〉の初披露にあたると考えられます。
三つの窓口を順に見ると、格下には〈城壁返し〉、防御の薄い相手には〈シールドバッシュ〉、ここぞという場面では〈不惜身命〉で全額両替、という使い分けが見えてきます。
重騎士の防御力は守りのためだけの数字ではなく、攻撃に回すための貯金だったというのが、エルマのビルドの本質だと筆者は考えています。
〈死線の暴竜〉は死にゲー的な設計|HPを残量ではなく目盛りとして扱う
HPが少ないほど攻撃力が上がる〈死線の暴竜〉や、攻撃のタイミングで成否が決まる〈パリィ〉は、ダークソウルのようないわゆる死にゲーの設計に似ているとよく言われます。
実際、エルマの前世のゲームは死亡時のペナルティが重く、そのせいで〈死線の暴竜〉は一部の物好きしか使わないスキルだった、という設定まで死にゲーの空気に近いものがあります。
ただ、エルマの戦い方は、死にゲーで低HPに賭けるプレイヤーとは少し違うと筆者は感じています。
普通のプレイヤーにとってHPは、なくなったら負ける残量のメーターです。
ところがエルマにとってのHPは、40%、20%、50%と、スキルの発動条件を合わせるための目盛りになっています。
〈不惜身命〉は50%以下、〈死線の暴竜〉は20%以下、〈ライフシールド〉は20%を支払う、という数字がきれいに噛み合っているのは偶然ではないでしょう。
40%まで削られたら〈ライフシールド〉で20%に落とし、50%以下の条件も同時に満たして〈不惜身命〉まで重ねる、という手順がスキルの数字だけで組み立てられるからです。
ハイリスク型ビルドに見えて、実際にはHPを細かく管理できる人だけがリスクを消せる、精密な管理型ビルドだというのが筆者の結論です。
推奨装備レベルと「重い」という描写
装備まわりの設定も、このビルドの運用に関わっています。
原作では、自分のレベルが推奨装備レベルに届いていない装備を使うと、少し性能にマイナス補正が掛かると説明されています。
〈狂鬼の盾〉は推奨装備レベル40で、手に入れた時点のエルマは推奨レベルに届いておらず、「若干動きにくい」と感じながらも使っているうちにレベルが追い付くと判断していました。
ファンの間で言われる「装備が重い」という感覚は、装備のレベルが低いからではなく、使う側のレベルが推奨に届いていないときに生じるマイナス補正の表現だと読むのが正確だと思います。
今後取得しそうなスキル予想|〈燻り狂う牙〉と〈重鎧の誓い〉の残りポイント
最後に、エルマが今後どんなスキルを伸ばしそうかを考えます。
原作の第二章終了時点のステータスでは、〈重鎧の誓い〉が41/100、〈初級剣術〉が5/50、〈燻り狂う牙〉が15/70で、未使用のスキルポイントが14残っています。
エルマは何ポイントで何のスキルが手に入るかを正確に覚えていると語っているので、ポイントを残しているのは迷っているからではなく、次の狩場や相手に合わせて振る先を決めるためだと考えられます。
予想の一つ目は、〈燻り狂う牙〉の残り55ポイントです。
〈燻り狂う牙〉の書には、砕けた身体を引き摺り、裂けた尾を舞わせ、なお止まらない者の凶行には死神さえ近づかない、という趣旨の説明文が添えられています。
ここまでのスキルがどちらも「HPが減った状態」を前提にしていることから、筆者は低HPのまま戦い続けるための継戦能力や、低HP時の攻撃をさらに伸ばすスキルが控えていると予想します。
予想の二つ目は、〈重鎧の誓い〉の後半です。
〈ライフシールド〉や〈プロテクト〉のように、自分のHPを守る保険のスキルが増えるほど、〈燻り狂う牙〉のリスクは小さくなります。
二つのツリーは攻めと守りで役割が分かれているように見えて、実際には「どれだけ安全にHPを削れるか」という一つの目的のために伸ばされているので、今後もこの両輪で強くなっていくはずです。
三つ目のツリーである〈初級剣術〉は5ポイントで止まったままで、ここを別のツリーに入れ替えるかどうかも見どころです。
ただしツリーを消すとそのツリーで習得したスキルもすべて消え、使ったポイントも戻らないので、〈当て身斬り〉を手放すほどの価値があるツリーが現れるかどうかが判断の分かれ目になると思います。
具体的なスキル名はまだ確認できないため、ここでは方向性の予想にとどめます。
本記事のスキル名や効果、取得ポイントは、小説家になろうに掲載されている原作『大ハズレだと追放された転生重騎士はゲーム知識で無双する』の本文と、講談社から刊行されている漫画版(漫画:武六甲理衣)単行本3巻から5巻の紹介文をもとに確認しています。
まとめ|エルマのスキルは防御力とHPを攻撃に変える仕組み
エルマのスキル構成は、〈重鎧の誓い〉〈初級剣術〉〈燻り狂う牙〉の三枠で組まれています。
マリス戦の逆転は、〈ライフシールド〉で自分のHPを20%以下に落として〈死線の暴竜〉を確実に発動させ、そのぶんを盾として持ち越すコンボによるものでした。
その前段では、〈影踏み〉と〈狂鬼の盾〉と〈当て身斬り〉の組み合わせで一撃を入れつつ、HPを計算どおりに削っていました。
〈城壁返し〉〈シールドバッシュ〉〈不惜身命〉という三つの窓口で防御力を攻撃に回し、HPを残量ではなく目盛りとして扱うことが、重騎士が格上を倒せる理由だと筆者は考えています。
重騎士というクラスの不遇さや〈燻り狂う牙〉を手に入れるまでの経緯は、世界観・設定まとめの記事で詳しく解説しているので、あわせて読んでみてください。
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