『食糧人類Re: -Starving Re:velation-』は、天人に食べられることを誉れとする社会に疑問を持った天沢大輝たちの戦いを描き、全7巻・全87話で完結した『食糧人類』の続編です。
この記事は最終回の内容に触れるネタバレ考察で、「ひどい」「打ち切りでは」という声と、絶賛の声の両方を整理しますので、未読の方はネタバレ注意でお読みください。
先に結論を書くと、食糧人類Re:の最終回で読者の評価を分けたのは、結末の内容そのものより、そこへ着くまでの速さだった、というのが本記事の主張です。
打ち切りを裏付ける公式発表は確認できていないので、本記事では打ち切りと断定しません。
結末の意味そのものについては、食糧人類Re:ネタバレ考察|天人が滅んでも人類は神を手放せなかったで考察しています。
食糧人類Re:最終回の声|87話のコメントを数えてみた
まず、どれくらい「ひどい」と言われているのかを確かめます。
めちゃコミックの最終87話に残っているコメントは11件で、その中に「ひどい」という言葉を使ったものは1件もありませんでした。
はっきりした不満と読めるのは2件で、1件は「最後あっさり」しすぎたという感想、もう1件はラストへの流れに違和感があるという感想です。
これに対して、よくできていた、長編映画を見たような爽快感があったと褒めるものも2件あります。
続編を見たい、これで終わりなのかという声が3件で、急展開に驚きつつ余韻が残ると書いたものが1件でした。
残る3件は、こうなるよね、といった短い感想です。
件数が少ないので全体の傾向とまでは言えませんが、少なくともコメント欄は酷評一色ではありません。
レビューに目を移しても、結末に触れたものでは「ラストもすごくいい終わり方だった」のほか、ラストが良かった、結末に納得したという好意的な声が目につきます。
めちゃコミックの総合評価は★4.0なので、全体として見れば支持されている作品です。
コメント全体で「ひどい」「酷い」といった言葉を探すと、9件見つかりました。
ただしその中身は、残酷すぎる、ひどい世界だ、といった序盤から中盤の描写に向けられたものばかりで、結末に向けられたものはありません。
つまり作中世界の残酷さを指す「ひどい」と、結末の評価としての「ひどい」が混ざって語られている可能性もあると考えます。
もう一点、数字を読むうえでの注意もあります。
コメントの件数は1話が46件、13話が45件に対して、70話は2件、85話は4件と、後半ほどかなり少なくなります。
最終話まで読んだ人は、途中で離れなかった読者なので、もともと作品に好意的な可能性があります。
ですから、最終話のコメントだけで「評価は高い」と言い切るのも、公平ではないでしょう。
それでも「ひどい」という印象が語られるのは、不満の中身がかなり具体的だからだと考えます。
「ひどい」と言われる理由|あっさり、急展開、設定の回収不足
否定的な声を読むと、不満は三つの方向に分かれます。
一つ目は終わり方の軽さです。
「思ったよりアッサリ終わった」と題したレビューは、宇宙や世代をまたぐ壮大な設定の割に終わるのが早いと書き、宇宙人が勝手に絶滅したことにも苦笑いしています。
87話のコメントにも、結末以外はドキドキしながら楽しめたという、ラストだけを惜しむ書き方がありました。
二つ目は途中までの話とのつながりです。
「最初から構想されていたストーリーではない感じがした」というコメントは、この不満をいちばんはっきり言葉にしたものでしょう。
序盤の読者が期待していたのは、教室や家庭の息苦しさの先にある決着だったはずです。
学校と洗脳の話として始まった物語が、終盤で惑星規模の話に変わるので、戸惑うのは無理もありません。
三つ目は設定の使い切れなさです。
先ほどのレビューには、天沢の過去や増殖種が何のための設定だったのか分からない、という指摘もあります。
天沢の出自は終盤で明かされますが、その後の展開に大きく関わる前に物語が終わるので、肩透かしに感じた読者がいるのは理解できます。
加えて、79話や85話には、話が分からなくなってきたという、終盤の情報量についていけない声も見えました。
レビューには、キャラクターがただの人間ではない根拠が薄く、終盤が予想できてしまったという感想もありました。
80話のコメントには、昔の小説で読んだような理屈でありきたりだと感じた、という厳しい声も見えます。
驚きを期待して読み進めた人ほど、種明かしの説明に物足りなさを覚えたのかもしれません。
こうして並べると、どの不満も「結末が間違っている」というより「もっと丁寧に見たかった」に近いことが分かります。
食糧人類Re:は打ち切りなのか|確認できたことと、できなかったこと
次に、打ち切り説です。
結論から言うと、打ち切りを裏付ける講談社や作者の発表は、今回調べた範囲では見つかりませんでした。
講談社の7巻紹介文は「堂々完結」と書いており、公式の説明としては予定どおりの完結という形です。
めちゃコミックのコメントとレビューを検索しても、「打ち切り」という語を使った書き込みは1件もありません。
この言葉が見られたのは個人の感想ブログで、思ったより早く終わったので打ち切りだろうか、と疑問形で書かれていたものです。
同じブログには、しばらく休載していた印象があり、そのあと一気に進んだとも書かれていましたが、これも筆者の記憶としての記述です。
全7巻という長さも、打ち切りの根拠にはなりません。
前作『食糧人類』も全7巻で完結しているので、シリーズとして同じ長さに収めたと見ることもできるからです。
前作にも打ち切りの噂がありましたが、ciatrの記事によれば、こちらも公式な根拠はなく、終盤を急ぎ足に感じた読者の感想が広まったものとされています。
連載の長さも確かめておくと、今作は2021年4月に始まり、2023年7月の7巻で完結しています。
約2年3か月という期間を短いと感じる人はいるでしょうが、前作も2016年9月から2018年11月までの約2年で完結した作品です。
この長さだけを根拠に打ち切りと決めつけることはできません。
つまり事実として言えるのは、読者が「終わるのが早い」と感じたということまでです。
編集部との間でどんな判断があったのかは外からは分からないので、予想で断定するのは避けたいと思います。
最終回の速さを測る|真の天人は登場から滅亡まで全体の約1割
では「速い」とは、どのくらい速いのでしょうか。
本記事が独自に確かめたかったのは、コメント欄の反応をたどって終盤の密度を測ることです。
コメントの話数は出来事の話数と完全に一致するとは限りませんが、おおよその目安にはなります。
78話で扉の向こうへの驚きが書かれ、79話から80話で世界の成り立ちに戸惑う声が増え、81話では天沢の生い立ちに驚く声が出ます。
84話には真実を知った人々への反応が、85話には群衆が動き出したという声があり、86話ではウイルスのオチに反応が集まります。
そして87話が最終話です。
つまり真の天人が読者の前に現れてから滅ぶまでが、全87話のうち9話ほどしかありません。
物語の約1割で、世界の成り立ちの説明、天沢の出自、映像の公開、大暴動、ある種族の絶滅、その後の社会までが描かれたことになります。
前半の学園や管理者との戦いに多くの話数を使っていただけに、この密度の差は相当なものです。
86話の「すごい早い展開」という声や、あれから何年たったのかと戸惑う反応は、読者が実際に振り落とされそうになっていた証拠だと言えます。
感想記事にも、少し駆け足に感じたけれど終わり方は好きだという書き方があり、速さと内容を分けて評価している読者がいることが分かります。
主人公が決着をつけない最終回|天沢大輝の手を離れたクライマックス
速さに加えて、もう一つ見逃せないのが、決着のつけ方です。
映像を放送し、群衆を集め、扉へ導いたのは帆秋二三麿でした。
そして真の天人を滅ぼしたのは、誰かの必殺の一撃ではなくウイルスです。
天沢が最後の敵を倒して世界を救う、という形を期待していた読者にとって、この展開は物足りなく映るはずです。
「宇宙人は勝手に絶滅」というレビューの言い方には、その拍子抜けがよく出ています。
86話の「ウイルスで死んだというオチか」にも、同じ温度を感じます。
33話や34話のコメントで主人公の退場に驚いていた読者は、最終盤でも別の形で、主人公が中心にいない感覚を味わったことになります。
ただ、これは作品のテーマから見れば筋の通った選択だとも考えます。
英雄が神を倒してしまえば、人々はその英雄をすがる相手にしてしまうからです。
熱い決着よりテーマの一貫性を選んだ分、娯楽としての満足感を削ったというのが、本記事の見方です。
読み方で変わる評価|話売り、一気読み、前作の読者
ここからは本記事の予想です。
評価が割れた理由の一つに、読むペースの違いがあるのではないかと考えています。
めちゃコミックの話売りは1話が短く、29話や34話には話が短すぎるというコメントがあるほどです。
少しずつ読む人にとって、戦闘が続く中盤は長く感じられ、37話にも戦闘シーンばかりでやめようかと思ったという声がありました。
それだけ時間をかけて付き合った物語が、最後の数話で一気に終わると、落差はかなり大きくなるはずです。
一方、好意的なレビューには一気に読んでしまったという書き方が見られます。
結末まで中だるみがなかったと書いた人も、この一気読みの読者でした。
まとめて読むと、前半の伏線と7巻の種明かしの距離が近くなるので、急に別の話になったという感覚が薄れるのかもしれません。
もちろんサンプルは多くないので、これは傾向の推測にとどまります。
同じ結末でも、読むペースが違えば印象が変わるという程度に受け止めてください。
ただ、これから読む人には、できれば最後の2巻はまとめて読むことをおすすめします。
もう一つ、前作の読者の目線も加えておきます。
駆け足という声は、実は今作だけのものではありません。
レビューの中には、前作が肩透かしな終わり方だった、前回の終わり方は急ぎ足っぽかったと書く人がいました。
その一方で、前作は感動的なラストだったと振り返る人もいます。
つまり、大きな謎を残り少ない巻数で一気にたたんで、評価が割れるという流れは、シリーズを通して繰り返されていることになります。
前作の読者が今作の終盤に「またか」と感じたとしても不思議ではありません。
逆に言えば、この思い切った畳み方そのものを、シリーズの持ち味として楽しんでいる人もいるはずです。
前作を読んだ人の中に今作の説明で腑に落ちたという声があるのは、そうした読者の存在を示しています。
それでも支持される最終回|天沢大輝と帆秋二三麿が残した余韻
駆け足という批判があっても、結末の内容を評価する声はしっかりあります。
87話のコメントには、自由は欲しいがすがるものも欲しい、という人間の弱さを描いた作品としてよくできていたという感想がありました。
レビューでも、人間は不自由でも自由でも生きられないという結末に、納得したと書かれています。
帆秋二三麿の最後の言葉として紹介されている内容と、天沢が教師になった後の退屈な世の中は、派手な勝利より重いものを残したようです。
長編映画を観たような爽快感があった、涙ながらに読んだという感想も、この余韻があってこそでしょう。
また、これで完結なのかと驚く声や、続編を楽しみにする声が多いのも特徴です。
終わるのが惜しいという感情は、不満と紙一重でありながら、作品が愛されていたことの裏返しでもあります。
読者の中には、ウイルスに弱いならなぜ最初に人類を支配できたのかと疑問を持つ人もいますが、その点は長く清潔な環境で暮らして免疫が落ちたという説明が紹介されており、詳しくは親記事の「無菌の檻」に譲ります。
結末への不満を持つ人の中にも、結末以外は楽しめたと書く人がいるので、作品全体の評価と分けて考えたいところです。
評価が割れること自体が、語りたくなる結末である証拠とも言えます。
ラストの「神様」をどう読むかも、親記事で扱っているのでここでは繰り返しません。
食糧人類Re:の結末の評価|本記事の結論は「内容は合格、尺は不足」
ここまでの声を踏まえて、本記事なりの評価を書きます。
結末の内容は、前半から積み上げた洗脳と同調圧力のテーマに、きちんと答えを出していると考えます。
支配者を倒しても人間の性質は変わらないという着地は、唐突どころか作品の出発点に戻るものです。
一方で、その答えを読者が飲み込むための時間は足りていませんでした。
回収された謎と、未回収に見える部分も整理しておきます。
天人の正体、天沢の出自、帆秋の過去、辻の目的、榊家の役割には、いずれも答えが出ました。
一方、扉の先へ行った帆秋たちの行方や、生き残った天人の子のその後は描かれていません。
続編を望む声が多いのはこのためで、続編の予定については親記事の時点から公式発表を確認できていません。
読者のひとりが書いた「長くは無いから許せる」という感想は、この作品の結末を言い当てていると感じます。
もっと長い連載であの速さなら許せないが、全7巻なら一気に読める範囲に収まっている、という評価です。
「ひどい」という評判を聞いて迷っている方には、結末が破綻しているわけではないので、駆け足を承知のうえで最後まで読む価値はある、とお伝えしたいです。
ただし、学園ものの緊張感がそのまま続くことを期待している方には、終盤の規模の変化は合わないかもしれません。
まとめ|食糧人類Re:の最終回は、ひどいのではなく速かった
『食糧人類Re: -Starving Re:velation-』の最終87話のコメントを数えると、不満と称賛は同じくらいで、続編を望む声も目立ちました。
不満の中心はあっさりした終わり方、途中との違和感、設定の回収不足で、どれも結末の中身より尺の問題に近いものです。
打ち切りを裏付ける公式発表は確認できず、言えるのは読者が早いと感じたという事実までです。
真の天人の登場から滅亡までが全体の約1割に収まっていたことが、評価の分かれ目になったと本記事は考えます。
最終回の前に明かされた天人の正体を整理したい方は、食糧人類Re:天人の正体|知性がないのは本物の支配者ではないからで詳しく確かめているので、続けて読んでみてください。
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