キン肉マン544話考察|ジ・エテルネル誕生とファナティックの皮肉な末路

その他作品考察

キン肉マン544話「炎天の刻、亡きあと!!の巻」は、アシュラマンに敗れたサラマンダーが五大刻筆頭ファナティックのもとへ帰還する場面から始まる。

今回は、サラマンダーの壮絶な最期と、そこから誕生した新時間超人ジ・エテルネルの正体、そしてカオスがグレートⅢとして参戦した意味を考察していく。

※ここから先はネタバレを含みます。未読の方はご注意ください。

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背景整理|刻の神と五大刻・ゴッズパワーズとは

現在のキン肉マンは、宇宙崩壊を加速させていた元凶が刻の神であると判明したところから物語が動いている。

刻の神の配下として登場したのが、1億パワーを誇る時間超人たち「五大刻」であり、ファナティックはその筆頭格として描かれてきた。

五大刻やそこから派生した「神の候補者(ゴッズパワーズ)」は、キン肉マンたちとの闘いの中で次々と敗れ去っていった。

その結果、刻の神は「時間超人としての誇りを持つことこそが肝要だ」と悟るに至り、ファナティックのように信念を貫く超人の価値が物語の中で強調される流れになっている。

544話は、この大きな敗北の連鎖の中で、ファナティック自身がどう動くのかが焦点になった回だと位置づけられる。

544話あらすじ|サラマンダーの壮絶な最期とエターナルコーダ

アシュラマンとの闘いに敗れたサラマンダーは、満身創痍のままファナティックのもとへと逃げ帰った。

しかしファナティックは、力尽きて帰還したサラマンダーを労うどころか、「五大刻に相応しくない」と切り捨てるように評価する。

労いの言葉どころか、そのままスパーリングと称した制裁が始まってしまうところに、ファナティックの合理主義的な性格がよく表れている。

サラマンダーは口に足を突っ込まれ、腕を折られるという一方的な展開の中でも、アシュラマンを苦しめた炎の腕でファナティックを捕らえ、リングの外へ道連れにしようと試みた。

だが、ファナティックはマグネットパワーで体勢を切り返し、逆にサラマンダーを技の餌食にしてしまう。

最後に繰り出されたのが、ファナティック最大の奥義「エターナルコーダ(永遠の最終楽章)」である。

抵抗むなしくこの技を受けたサラマンダーは、そのままマットに沈み、絶命した。

ファナティックにとってサラマンダーは仲間ではなく、あくまでゴッズパワーズを生み出すための実験材料、いわば生贄に過ぎなかったということになる。

超回復すら使えない状態まで追い込まれたサラマンダーが、最後まで抵抗の姿勢を崩さなかった点は、この回における数少ない救いだったとも言えるだろう。

ジ・エテルネル誕生|ジャスティスマンとネメシスの融合が生んだ新時間超人

サラマンダーの遺骸を素材として、ファナティックは新たな時間超人「ジ・エテルネル(永遠の刻)」を誕生させる。

ジ・エテルネルという名称は、フランス語で「永遠の」「永久の」を意味する言葉に由来していると見られ、ファナティックの技名「エターナルコーダ」とも呼応する命名になっている。

ジ・エテルネルは、これまでの闘いでキン肉マンたちから奪ったジャスティスマンとネメシスの力を融合させ、自らの研究成果をすべて注ぎ込んだ、まさに集大成といえる超人だ。

1億パワーを備えるだけでなく、ジャスティスマンの融通の利かない実直さと、ネメシスの面倒見の悪い気難しさという、性格面まで色濃く受け継いでいる点が興味深い。

単なるパワーの継承ではなく、性格や気質までもが融合先から受け継がれているという描写は、キン肉マンシリーズにおける超人の「力の本質」を考えるうえで見逃せない要素である。

力は肉体だけでなく、その超人が積み重ねてきた戦い方や信念ごと受け継がれるものだという世界観が、ここで改めて示された形だ。

ファナティック自身も、生み出したはずのジ・エテルネルの頑固さに手を焼く様子が描かれており、皮肉にもコミカルな空気を作り出している。

研究者として冷徹に振る舞ってきたファナティックが、自分の作った超人に振り回されるという展開は、この編の緊迫した戦いの中で貴重な緩急を生んでいると言えるだろう。

ジャスティスマンとネメシスという、それぞれ単体でもキン肉マンたちを苦しめてきた強敵の力を掛け合わせた以上、ジ・エテルネルの戦闘能力そのものも五大刻の中で頭一つ抜けた存在になっている可能性が高い。

カオス(グレートⅢ)参戦|刻の神との対峙に投入された理由

ジ・エテルネル誕生と時を同じくして、キン肉マン・グレートⅢが姿を現す。

グレートⅢの正体は、孤児院「がきんちょハウス」出身の少年カオスであり、宇宙超人タッグ・トーナメント決勝戦を観戦中に偶然グレートマスクを手にしたことで、3代目グレートとなった経緯を持つ。

カオスはこれまでの物語でも、キン肉マンやマッスルブラザーズⅢの一員として要所要所で存在感を発揮してきたキャラクターだ。

今回、刻の神やファナティックが生み出す新たな脅威に対抗する局面で、あえてグレートⅢとしてのカオスが投入されたのは、単純な戦力増強という以上の意味を持つのではないか。

グレートマスクという「偶然受け継いだ力」を背負うカオスの立ち位置は、研究によって人為的に生み出されたジ・エテルネルとは対照的だ。

受け継がれた力と、作り出された力がぶつかり合う構図は、この編全体のテーマである「刻(時間)とは何か」「超人の力はどこから来るのか」という問いに通じているように見える。

カオスがこれまでの闘いで見せてきた、仲間を思うがゆえの覚悟や決断力は、生贄として使い捨てられたサラマンダーとの対比としても機能するはずだ。

力を奪い合い利用し合う刻の神陣営に対して、絆によって力を発揮するキン肉マン陣営という構図が、グレートⅢの登場によってより鮮明になったのではないだろうか。

独自考察|ファナティックが自らの”天敵”を生み出した皮肉な構図

ここからは、これまでの展開を踏まえた独自の考察を述べたい。

ファナティックはジャスティスマンとネメシスという、性格に難のある二人の力を掛け合わせてジ・エテルネルを生み出した。

しかし、その結果として誕生したのは、生みの親であるファナティック自身の思い通りにならない、頑固で扱いにくい超人だったという点は極めて示唆的である。

ファナティックは五大刻を「相応しくない」と切り捨て、サラマンダーを容赦なく生贄にするほど合理性を重んじる性格として描かれてきた。

そのファナティックが、自らの手で自分の理屈が通じない存在を作り出してしまったという展開は、これまでの彼の行動原理そのものに対する皮肉として機能しているのではないだろうか。

言い換えれば、ジ・エテルネルは単なる新戦力ではなく、ファナティックの「効率至上主義」がどこかで綻びを生むことを予告する存在なのかもしれない。

今後の展開では、ジ・エテルネルが刻の神やファナティックの意図から外れた行動を取り、物語の均衡を崩すキーパーソンになる可能性がある。

実際、次話にあたる545話は「想定外の未来!!の巻」というタイトルで掲載されており、タイトルだけを見ても、ファナティックたちの計算を超える事態が起きることを匂わせている。

ジ・エテルネルの頑なな性格が、刻の神やファナティックの目論見にどう作用していくのか、そしてグレートⅢとして駆けつけたカオスがこの新時間超人とどう対峙するのか、次話以降の焦点として注目したい。

キン肉マンという長期連載作品は、これまでも「生み出した力が生みの親の想定を超えていく」という展開を繰り返し描いてきた歴史を持つ。

ジ・エテルネルの誕生も、その系譜に連なるエピソードとして位置づけられるのではないかと見ている。

もう一つ気になるのは、サラマンダーという一人の超人の死を代償にして、これほど強力な存在が生まれてしまったという「命の重さ」の扱いだ。

ファナティックにとっては合理的な選択であっても、読者の視点から見れば、この犠牲がどう報われるのか、あるいは報われないままなのかという点も今後の見どころになりそうだ。

今後の展開予想|545話「想定外の未来!!の巻」で描かれそうなこと

545話のタイトル「想定外の未来!!の巻」からは、ジ・エテルネルの誕生によって、刻の神やファナティックの思惑からズレた未来が訪れることが示唆されているように読める。

可能性のひとつとして考えられるのは、ジ・エテルネルがジャスティスマンやネメシスの記憶や信念の一部を色濃く受け継いだ結果、ファナティック陣営に対して非協力的な態度を見せる展開だ。

ジャスティスマンは融通が利かないながらも筋を通す性格として描かれてきたキャラクターであり、その気質がジ・エテルネルに残っているとすれば、生贄にされたサラマンダーの扱いに何らかの疑問を抱く可能性も否定できない。

もうひとつの軸は、グレートⅢとして参戦したカオスの動きだ。

カオスは偶然力を手にした側の超人であるため、研究によって人工的に作られたジ・エテルネルとの対峙を通じて、「力とは何のために使うものか」という問いを物語に投げかける役割を担うのではないかと見ている。

ファナティックにとって「想定外」なのがジ・エテルネルの性格なのか、それともカオスの介入なのか、あるいはその両方が絡み合う展開なのか、次話以降を読み解くうえでの注目ポイントになりそうだ。

なお、本記事は掲載媒体である週刊プレイボーイ(週プレNEWS配信分・少年ジャンプ+アプリで配信されている週プレ連載シリーズ)で公開された第544話「炎天の刻、亡きあと!!の巻」の内容をもとに執筆している。

まとめ

キン肉マン544話は、サラマンダーの死という重い結末とともに、ジ・エテルネルという新たな脅威と、グレートⅢとして参戦したカオスという二つの大きな動きを描いた回だった。

ファナティックが自らの手で”天敵”となりうる存在を生み出してしまったという皮肉な構図は、今後の展開を読み解くうえで重要な伏線になりそうだ。

次回545話「想定外の未来!!の巻」でジ・エテルネルとカオスがどう動くのか、引き続き注目していきたい。

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