※この記事は『黙示録の四騎士』258話までのネタバレを含みます。ネタバレ注意です。
黙示録の四騎士258話で、ゼルドリスがカオス・ランスロットとの最後の攻防に選んだ技が「紫電一閃」でした。
紫電一閃は、兄メリオダスから学んだ剣技です。
この記事では、前作『七つの大罪』での紫電一閃の初出と、ゼルドリスとメリオダスの兄弟関係をたどりながら、なぜ最後に兄の技だったのかを考察します。
なお、前提となる258話の内容は黙示録の四騎士258話考察|ランスロットの「限界」とゼルドリス最後の言葉で詳しくまとめています。
紫電一閃とは|黙示録の四騎士258話でゼルドリスが放った剣技
紫電一閃(しでんいっせん)は、258話でゼルドリスがカオス・ランスロットに対して放った剣技です。
この技は、ゼルドリスが兄メリオダスから学んだものとされています。
258話は、怨嗟のインデュラの封印が破られ、ランスロットの中にいるキャスがはっきり姿を見せた回でした。
ギネヴィアを人質にされ、うかつに手を出せない状況の中で、ゼルドリスが剣を振るった場面です。
「紫電」は紫色の稲妻、「一閃」は一瞬のきらめきを意味する言葉です。
日本語では、刀を素早く振り下ろす様子を表すときにも使われます。
名前のとおり、一瞬で勝負を決めにいくための技だと読めます。
ここで押さえておきたいのは、ゼルドリスが自分で編み出した技ではないという点です。
魔神王として魔界を背負うゼルドリスが、いちばん苦しい場面で選んだのが「兄から教わった技」だった。
この事実だけで、258話の攻防にはもう一段深い意味が生まれます。
七つの大罪324話「兄弟の約束」|紫電一閃はメリオダスの剣技だった
紫電一閃は、黙示録の四騎士で初めて登場した技ではありません。
前作『七つの大罪』では、324話でメリオダスが使っています。
一瞬のうちに複数の敵を何度も斬りつける剣技で、メリオダスの剣の速さを象徴する技の一つでした。
注目したいのは、この324話のサブタイトルが「兄弟の約束」であることです。
メリオダスとゼルドリスの兄弟関係が大きく動いた前作終盤の回のタイトルに、この言葉が選ばれていました。
その回でメリオダスが使った技を、16年後の黙示録の四騎士で弟のゼルドリスが振るっている。
偶然とは思えないつながりです。
作者がどこまで意図しているかはわかりませんが、少なくとも前作を読んできた読者にとって、紫電一閃という技名は「メリオダスの技」として記憶に残っています。
それを258話という魔界編のクライマックスで、ゼルドリスに使わせた。
この選択には、兄弟の物語を黙示録の四騎士へ引き継ぐという意味が込められているように感じます。
ゼルドリスとメリオダスの兄弟関係|剣を教わった弟が兄を恨んだ理由
紫電一閃の重みを理解するには、ゼルドリスとメリオダスの関係を振り返る必要があります。
ゼルドリスは、戦いの技術をキューザックとメリオダスの二人から教わった魔神族です。
メリオダスが十戒の統率者だった頃、ゼルドリスは兄を強く慕っていました。
兄のそばでは笑顔を見せることもあったと語られています。
しかしメリオダスは、女神族のエリザベスを愛し、魔神族を裏切ります。
その裏切りがきっかけで吸血鬼族が魔神王への反乱を起こし、ゼルドリスは吸血鬼族の処刑を命じられました。
その中には、ゼルドリスが愛したゲルダがいました。
ゼルドリスはゲルダを殺すことができず、吸血鬼族ごと封印する道を選びます。
慕っていた兄に裏切られ、愛する人とも引き離された。
前作のゼルドリスが冷酷な魔神王の代理人として振る舞い、メリオダスへの怒りを隠さなかったのは、この二重の喪失があったからです。
転機になったのは、メリオダスがゲルダは死んでおらず封印されているだけだと伝えたことでした。
魔神王になったら封印を解くと約束されたゼルドリスは、兄に協力する道を選びます。
恨みを抱えたままでも、兄の約束を信じた。
ここに、ゼルドリスの根っこにある兄への信頼が見えます。
魔界最速の剣とゼルドリス|兄の技を使いこなせる理由
ゼルドリスは、もともと剣の腕が際立った魔神族です。
前作では、その剣の速さは魔界で最も速いと言われていました。
286話では、四大天使の筆頭リュドシエルと剣で互角に渡り合っています。
キューザックとメリオダスに鍛えられ、魔界最速と呼ばれるほどの剣を身につけた。
そう考えると、一瞬で何度も斬りつける紫電一閃は、ゼルドリスにとって最も相性のいい技の一つだったはずです。
兄の技を見よう見まねで使ったのではなく、兄に教わった基礎の上に、自分の剣速を乗せて完成させた技。
258話の紫電一閃は、そう読むのが自然だと思います。
また、黙示録の四騎士の魔界編でゼルドリスが見せた技を並べると、選択の流れがよく見えます。
256話では、自身の魔力である凶星雲(オミノス・ネビュラ)で反撃しました。
257話では、剣のひと振りで巨大な闇の雷を放つ黒御雷でカオス・ランスロットを撃破しています。
そして258話で、最後に選んだのが紫電一閃でした。
自分の魔力、自分の剣技と来て、最後は兄の技にたどり着く。
この順番には意味があったと考えています。
なぜ最後に兄の技だったのか|「王様」と慕われたメリオダスの剣
ここからは、なぜゼルドリスが最後に紫電一閃を選んだのかを考えます。
一つ目の理由は、相手がランスロットだったからです。
ランスロットは、メリオダスを「王様」と慕ってきた騎士です。
ランスロットにとってメリオダスは、ただの強い大人ではなく、敬意を向ける特別な存在でした。
そのメリオダスの技を目の前で見せることは、ランスロットの中に残っている本人の心へ呼びかける行為になります。
258話のランスロットは、全身全霊で悪意を押さえ込みながら、ゼルドリスに自分を討たせようとしていました。
ゼルドリスはその意図に気づいていたからこそ、力で叩き伏せるだけでなく、ランスロットの記憶に届く技を選んだのではないでしょうか。
二つ目の理由は、ゼルドリス自身の覚悟です。
258話のゼルドリスは、カオス・ランスロットが本来の力を解き放ったとき、もう防げないことを悟っていました。
自分が倒れるかもしれない戦いで、最後に振るう剣に兄の技を選ぶ。
それは、かつて兄に反発した弟が、兄の背中を追うのではなく、兄の技ごと自分の王道に取り込んだという意思表示にも見えます。
前作で兄とは認めないとまで突き放した相手の技を、魔神王として民を守る戦いで使っているのです。
兄弟の関係がどこまで修復されたのかを、言葉ではなく技で示した場面だと受け取りました。
独自考察|紫電一閃と「兄者たち」は一つのメッセージだった
ここからは、258話を読んで考えた独自の視点です。
ゼルドリスは最後に、パーシバルや兄者たちがお前を助けてくれるはずだと、ランスロットに言葉を残しました。
希望を捨てるな、必ず自分を取り戻せよ、と。
私は、この最後の言葉と紫電一閃は、ひとつながりのメッセージだったと考えています。
まず剣でメリオダスの技を見せ、次に言葉で「兄者たち」の名前を出す。
技と言葉の両方で、ランスロットに「お前にはメリオダスたちがいる」と伝えていたのではないでしょうか。
ゼルドリスは、自分ひとりではランスロットを救えないことを、戦いの中で理解していたはずです。
キャスの混沌は、本物の魔神王と最高神の二人分の力がなければ封じられないとキャス自身が語っていました。
だからこそ、自分の後を兄に託す。
紫電一閃は、ゼルドリスが兄へ渡したバトンだったとも読めます。
もう一つ気になるのは、この技が今後もう一度描かれる可能性です。
もしメリオダスがカオス・ランスロットの前に立つ日が来るなら、そこで紫電一閃が使われる展開は十分に考えられます。
弟が倒れる直前に放った技を、兄が受け継いで振るう。
前作324話「兄弟の約束」で使われた技が、黙示録の四騎士で兄から弟へ、そして弟から兄へと往復することになります。
現時点では推測にすぎませんが、もしこの展開が来たら、紫電一閃は兄弟の約束を象徴する技として完成するはずです。
また、トリスタンはメリオダスの息子であり、ゼルドリスにとっては甥にあたります。
父と叔父が使った剣技を、トリスタンが受け継ぐ展開も考えられます。
魔神族と女神族の両方の血を引くトリスタンが紫電一閃を使えば、技そのものが一族の系譜を語ることになるでしょう。
紫電一閃から見るゼルドリスの成長|七つの大罪から黙示録の四騎士へ
最後に、紫電一閃を通してゼルドリスの成長を整理します。
前作のゼルドリスは、兄への怒りと、ゲルダを失った悲しみを抱えて戦う人物でした。
魔神王の代理人として冷酷に振る舞い、兄の生き方を否定し続けていました。
それが黙示録の四騎士では、民を奈落へ逃がし、自分ひとりで脅威の前に立つ魔神王になっています。
ゲルダとともにパーシバルを息子のように思い、敵として現れたランスロットにまで希望を託しました。
その変化を最も端的に示しているのが、258話の紫電一閃だと思います。
兄を恨んでいた弟が、兄から教わった技を誇りをもって振るう。
技の名前ひとつに、前作から続く兄弟の歴史が詰まっています。
258話のラストでゼルドリスはカオス・ランスロットに切り刻まれましたが、作中で死亡がはっきり明言されたわけではありません。
259話「暴走の果て」以降で、紫電一閃に込められた想いがどう回収されるのかにも注目したいところです。
※本記事は講談社「週刊少年マガジン」およびマガジンポケット掲載の『黙示録の四騎士』258話までの内容をもとに考察しています。
まとめ|紫電一閃はゼルドリスとメリオダスの兄弟の約束を映す剣技
黙示録の四騎士の紫電一閃について、ポイントを整理します。
1つ目は、紫電一閃が258話でゼルドリスがカオス・ランスロットに放った、兄メリオダスから学んだ剣技だということです。
2つ目は、前作『七つの大罪』では324話「兄弟の約束」でメリオダスが使った技だということです。
3つ目は、兄を慕い、兄を恨み、それでも兄の約束を信じたゼルドリスの歴史が、この技の選択に重なっていることです。
4つ目は、メリオダスを「王様」と慕うランスロットに対して、兄の技で呼びかけたように読めることです。
5つ目は、紫電一閃と「兄者たち」という最後の言葉が、メリオダスへ後を託すひとつのメッセージになっているという独自の読みです。
ゼルドリスとメリオダス兄弟のつながりをもっと深く知りたい方は、【七つの大罪×黙示録の四騎士】つながり徹底考察(ネタバレ注意)もあわせて読んでみてください。
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