『追放された転生重騎士はゲーム知識で無双する』の漫画版には、エンブリオや成金ラーナ、存在進化したマッドヘッドなど、攻略法を知らなければ詰む魔物・ボスが次々に登場します。
この記事では、エルマが戦ってきた強敵たちを「ボスの設計」という視点で考察し、存在進化がなぜ危険なのか、レア個体の出現条件、そして大討伐編以降に出てきそうなボスまで予想します。
作品の世界観や加護の儀、重騎士というクラスの基本については『追放された転生重騎士 世界観・設定まとめ|重騎士と加護の儀を解説』で整理しているので、先に読んでおくと魔物の話もすっと入ってきます。
なお本文は漫画版7巻前後までの展開と、なろう版原作の内容に触れるため、ネタバレ注意です。
- エンブリオとは|〈天使の玩具箱〉の〈夢の主〉と三体のブリキナイト
- エンブリオのボス設計|「レベル」ではなく「役割」を試すボス
- 成金ラーナはなぜ1匹で1話使うのか|防御力200とHP2の金策モンスター
- レアモンスターの出現条件|金蝦蟇・〈夢の穴〉の上限・幸運力
- 存在進化はなぜ危険か|マッドヘッドとデスアームドに見る延長戦の罠
- エルマが戦ってきた主な魔物・ボス一覧|漫画版の巻数との対応
- ダンジョンクリア後の報酬設計|〈番狂わせ〉と魔石が示すもの
- 独自考察|この世界の魔物は「学習する」からゲーム知識に期限がある
- 今後のボス予想|大討伐編の禁断の大森林と人為的な存在進化
- まとめ|追放された転生重騎士の魔物は「攻略法を知る価値」を描くための存在
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エンブリオとは|〈天使の玩具箱〉の〈夢の主〉と三体のブリキナイト
漫画版でエルマとルーチェが初めて挑んだダンジョンボスが、〈天使の玩具箱〉の〈夢の主〉エンブリオです。
〈夢の主〉はダンジョンである〈夢の穴〉の心臓にあたる魔物で、これを倒さない限り〈夢の穴〉を消すことはできません。
原作でのエンブリオは、緑色の胎児のような姿で天井近くを浮遊し、長い尾を持ち、口のような部分を開くと中から巨大な単眼が現れるという、かなり悪趣味なデザインです。
ステータスは【Lv:50】で、HPは42と、同レベル帯の中ではかなり低めです。
それでもエンブリオが難敵とされるのは、ダメージを与える手段がほとんどないからです。
エンブリオの行動パターンと弱点
まず【Lv:40】のブリキナイトを三体使役し、前衛として突撃させます。
ブリキナイトはHPがなくなっても動かなくなるだけで、本体が生きている限り〈リペア〉という魔法で完全な状態に戻されてしまいます。
本体は浮遊して後衛に陣取り、〈シルフカッター〉と〈サンダーストーム〉という攻撃魔法を使います。
本体の肉の鎧は防御力が+66もあり、弱点の目玉を狙わなければまともにダメージが通りません。
そして、その目玉は魔法を撃つときにしか開かないのです。
つまりエンブリオは、ブリキナイトの猛攻を前衛が受け止め、魔法の瞬間に後衛が目玉を撃ち抜くという役割分担ができていないと倒せないボスで、エルマも原作でそう説明しています。
ルーチェが〈ダイススラスト〉で決着をつけた場面の意味は『追放された転生重騎士 ルーチェ考察|元パーティ追放の本当の理由と豪運の正体』で掘り下げているので、ここでは設計の話に絞ります。
エンブリオのボス設計|「レベル」ではなく「役割」を試すボス
ゲームを作る側の目線で見ると、エンブリオはとてもよくできたボスです。
ステータス自体が低めに設定されているのは、レベルの暴力で押し切るのではなく、仕組みを理解したかどうかを試す相手だからでしょう。
実際エルマは、性質が尖っているからこそ、弱点を突けば単独での低レベル撃破も不可能ではないと考えています。
このボスでは、ブリキナイトを倒すことに意味がありません。
倒しても経験値が入らず、〈リペア〉で復活し、時間をかけるほど本体の速い自動回復でHPが戻っていきます。
目の前の敵を必死に倒すプレイヤーほど消耗していく、いわば「雑魚処理をさせて負けさせる」構造です。
一方で原作では、エンブリオは前情報なしでダメージを与えるのが難しいため、〈マジックワールド〉でも〈王の彷徨〉の発生率が高かったと語られています。
〈王の彷徨〉とは、〈夢の主〉が奥地から出てきて内部を徘徊する現象で、最も多い発生条件は、冒険者が挑んでほとんどダメージを与えられずに逃走した場合です。
倒し方を知らない冒険者が負けて逃げるほど、ボスがダンジョン内をうろつき、別の冒険者が巻き込まれる確率が上がるのです。
〈王の彷徨〉が逆に攻略ルートを開いた
面白いのは、この不運がそのまま勝ち筋にもなっていた点です。
本来エンブリオは、ボス部屋の高い天井近くに浮かんでいるため、近接攻撃しかない重騎士と道化師では届きません。
ところが〈王の彷徨〉で出てきた通路は、ボス部屋より天井が低かったのです。
エルマはここで〈シールドバッシュ〉を使ってルーチェを空中へ弾き飛ばすという、本来の想定にない攻略を成立させます。
ボスの居場所が変わると弱点まで変わるという描写は、マップとボスがセットで設計されているゲームらしさがよく出ている部分です。
成金ラーナはなぜ1匹で1話使うのか|防御力200とHP2の金策モンスター
エンブリオの直前に描かれるのが、成金ラーナ狩りです。
アニメでも第7話のサブタイトルが「成金ラーナ狩り」になっており、たった一体の魔物を倒すために一話分が使われています。
原作によると、成金ラーナは金色のラーナで、〈天使の玩具箱〉に出るものは【Lv:40】です。
攻撃力はわずか9で攻撃スキルも持たない一方、素早さは67、防御力は200もあり、属性攻撃も状態異常もデバフも完全に無効化します。
エルマの〈城壁返し〉が完璧に決まっても、一ダメージも通らない数値です。
成金ラーナの倒し方は「パズル」になっている
一つ目は追い込みです。
成金ラーナは冒険者が周囲4メートルまで近づかないと逃げ始めず、〈天使の玩具箱〉の通路の幅もちょうど4メートルです。
ルーチェが〈曲芸歩術〉で壁と天井を走って背後に回り、〈ドッペルイリュージョン〉の幻影で退路をふさぎます。
状態異常の【まぼろし】は効かなくても、スキルが作った幻影を見抜く力はないというのが、一つ目の抜け穴です。
二つ目は拘束です。
エルマの〈影踏み〉は特殊なスキルなので、状態異常やデバフとして扱われず、成金ラーナにも効きます。
三つ目がとどめで、ルーチェの〈ダイススラスト〉で六が出ると、攻撃力1.95倍と防御65%貫通の一撃になります。
これで与えられるダメージがきっかり2で、成金ラーナのHPもちょうど2なのです。
防御力200に対してHP2という極端な数値は、「倒し方を知っている人だけが倒せる」ように作られた、典型的なご褒美モンスターの設計だと言えます。
その対価として落としたのが、市場価値千七百万ゴルドの〈輝くラーナの飾剣〉でした。
漫画2巻の紹介文にあるとおり、目標の〈燻り狂う牙〉のスキルブックは5000万Gで、追放されたばかりのエルマが現実的に届く金額にするには、この金策モンスターが不可欠だったわけです。
レアモンスターの出現条件|金蝦蟇・〈夢の穴〉の上限・幸運力
成金ラーナのようなボーナス枠のラーナは、〈マジックワールド〉では金蝦蟇と総称されていました。
まず、一つの〈夢の穴〉から出てくる金蝦蟇の数には上限があり、狩り尽くされていれば出てきません。
次に、成金ラーナは〈天使の玩具箱〉の中盤で出やすく、出やすい生成ルートや、セットで出る魔物と絶対に一緒に出ない魔物まで、エルマは把握していました。
そして、金蝦蟇の出現率は幸運力によって変わります。
ルーチェの〈豪運〉がレアな魔物の出現率に関わる話は『追放された転生重騎士 ルーチェ考察|元パーティ追放の本当の理由と豪運の正体』でも触れているとおりですが、魔物側の視点で見ると、出現率を上げる幸運力と、出現場所を絞り込む知識の両方がそろって初めて狩りが成立する設計になっています。
さらに原作では、成金ラーナが出る〈夢の穴〉はほかにもあるものの、分岐の少ない一本道で、通路の幅が狭すぎず広すぎない〈天使の玩具箱〉でしか〈影踏み〉を決められないとされています。
存在進化はなぜ危険か|マッドヘッドとデスアームドに見る延長戦の罠
この作品の魔物を語るうえで外せないのが、存在進化です。
存在進化の基本的な定義と、グールヘッドがマッドヘッドに変わった流れは『追放された転生重騎士 世界観・設定まとめ|重騎士と加護の儀を解説』で整理しているので、ここでは存在進化が「どういう仕組みで脅威になるのか」を掘り下げます。
マッドヘッド|追い詰めた側が負けるレアイベント
序盤のレイドクエストでボスだったグールヘッドは、特性スキル〈屍喰らい〉を持っていました。
死体やアンデッドを喰らうとHPが回復するスキルで、グールヘッドなら必ず持っているわけではなく、だいたい半々の確率だと説明されています。
グールヘッドは周囲のワイトを次々に喰らって回復し、最後には残りの五体をまとめて口に押し込んだあと、マッドヘッドへと存在進化しました。
原作でエルマは、長期戦で追い詰め続けたことと、〈屍喰らい〉で進化のためのエネルギーを蓄えていたことが原因だと分析しています。
進化後のマッドヘッドは、正面の相手をスタンさせる〈王の咆哮〉と、麻痺を付与する〈痺れ毒の腐肉〉を持ち、全長も二メートルほどから三メートル近くまで膨れ上がります。
ここで怖いのは、存在進化が「冒険者が優勢なとき」に起きることです。
あと一撃で倒せるところまで追い詰めた瞬間に、敵のレベルが上がり、攻撃スキルが増え、足まで速くなります。
エルマが、余裕のある討伐依頼でも逃げるときの取り決めをしておくべきだったと悔やむのは、勝ちかけた側ほど撤退の判断が遅れるからでしょう。
デスアームド|〈夢の主〉の存在進化は「冒険者の死」が条件
漫画5巻で描かれる〈百足坑道〉のボス戦は、さらに一段階怖い存在進化です。
原作では、倒し方さえわかれば楽な〈夢の主〉だったロックセンチピードが、【Lv:60】から【Lv:75】のデスアームドへと存在進化します。
一定数以上の冒険者の死骸を喰らい、一定数以上の魔石を喰らい、そのうえで冒険者に討伐されること。
〈夢の主〉の存在進化の条件は、細かな違いはあっても、おおむねこれが土台だとされています。
つまり〈夢の主〉の存在進化は、冒険者が負けて死ぬほど条件が満たされていく仕組みなのです。
しかもこの条件は〈王の彷徨〉が何度も起きない限り満たされないはずで、エルマは何者かが意図的に条件を整えた可能性まで疑っています。
エルマが戦ってきた主な魔物・ボス一覧|漫画版の巻数との対応
本記事で取り上げた魔物を、講談社の単行本紹介文で確認できた巻数の目安と合わせて整理しておきます。
ワイトとグールヘッド、マッドヘッドは、序盤のレイドクエストで登場します。
ワイトは〈マジックワールド〉で最も一般的な魔物で、腐った死体に穢れたマナが定着したアンデッドです。
成金ラーナとの金策は2巻、エンブリオとの決着は3巻の紹介文で触れられています。
〈百足坑道〉で存在進化した〈夢の主〉と戦うのが5巻です。
7巻では、本来は撃破不可能とされる強敵パッチワークとの遭遇と、存在進化したボスへのレイドバトルが紹介されています。
原作ではこのレイドボスが、ナイトボーンから存在進化した【Lv:85】のスカルロードで、最悪の〈夢の穴〉災害である〈夢壊〉の条件を満たしかけていたとされています。
こうして並べると、存在進化は物語が進むたびに規模が大きくなり、一人の冒険者の危機から、都市全体の危機へと広がっていることがわかります。
ダンジョンクリア後の報酬設計|〈番狂わせ〉と魔石が示すもの
エンブリオを倒したあと、エルマはレベルが33から41まで一気に上がり、称号〈番狂わせ〉を手に入れます。
これはパーティーメンバー二名以下、推奨レベルの七割以下で〈夢の主〉を倒した証で、レベル上の相手との戦闘時に攻撃力と素早さが15%上がる称号です。
さらにエンブリオの魔石は百万ゴルド、ブリキナイトの魔石も一つ五十万ゴルド以上と見積もられ、〈ブリキソード〉という市場価値二百四十万ゴルドの剣まで落ちています。
デスアームドを倒した際にも、【Lv:70】以上の存在進化した〈夢の主〉を倒した証として、〈夢の主〉への攻撃力が7%上がる称号〈悪夢殺し〉を得ています。
ここから見えるのは、危険な戦いほど報酬が恒久的な強化として残る設計です。
無茶な格上撃破の見返りを称号という形にしているからこそ、エルマの博打のような戦いが、その後のビルドの土台として意味を持ち続けるのだと思います。
独自考察|この世界の魔物は「学習する」からゲーム知識に期限がある
ここからは筆者の考察です。
エンブリオ戦には、ゲーム知識の限界を示す描写がはっきり置かれています。
ブリキナイトは〈シールドバッシュ〉の動きを覚えて後ろへ跳んで避け、エンブリオはブリキナイトを挟んだ位置関係でも、ゲームでは撃ってこないはずの魔法を撃ってきました。
エルマ自身、AIの隙を突いた立ち回りがどこまで通用するか怪しかったと振り返っています。
さらに、ダイスで四が出て攻撃が弾かれたとき、エンブリオは〈マジックワールド〉で見たことのない、勝ち誇ったような悪意のある笑みを浮かべました。
存在進化の条件が乱数に左右されることは『追放された転生重騎士 世界観・設定まとめ|重騎士と加護の儀を解説』でも触れていますが、筆者が注目したいのは、乱数よりも魔物の学習のほうが厄介だという点です。
乱数には確率で備えられますが、学習する敵には過去の攻略データが通用しなくなっていきます。
しかもデスアームドの件では、存在進化の条件そのものが誰かに人為的に整えられていた疑いまで出てきました。
つまりこの作品の魔物の脅威は、乱数、学習、人の悪意と、エルマのゲーム知識が届かない方向へ段階的に移っているのです。
成金ラーナのように「知っていれば勝てる」ボスから始まり、エンブリオで「知っていても想定外が起きる」ボスへ、そして存在進化で「誰かが条件を操作している」ボスへ。
ボスの並び自体が、ゲーム知識の賞味期限を読者に少しずつ見せていく構成になっていると考えています。
今後のボス予想|大討伐編の禁断の大森林と人為的な存在進化
漫画版は19巻で契約獣「饕餮」との戦いを終え、禁断の大森林での100人規模の大討伐に入っています。
饕餮は漫画版で登場する魔物で、なろう版の本文では確認できなかったため、能力の詳細はこの記事では断定しません。
大討伐の背景については『追放された転生重騎士 172話考察|禁断の大森林の大討伐編を原作から読み解く』で整理していますが、原作では黒き炎刃カロスがダンジョンに危険なアイテムをばらまき、〈夢の主〉の存在進化を誘発して〈夢壊〉を起こそうとしていたことが語られています。
ここまでの流れを踏まえると、大討伐編のボスは「存在進化を人為的に引き起こされた魔物」になる可能性が高いと筆者は予想します。
禁断の大森林は攻略されないまま放置された高レベルの〈夢の穴〉が多い土地なので、〈夢の主〉が冒険者の死骸と魔石を喰らう条件を満たしやすい環境だとも言えます。
もう一つ予想したいのは、ボスの側が「役割分担」を試してくる展開です。
エンブリオがそうだったように、100人規模の作戦では、前衛と後衛、本隊と別動隊の連携が崩れた瞬間を突くボスほど脅威になります。
重騎士として攻撃を引き受けるエルマと、確率で状況を動かすルーチェの組み合わせが、大人数の作戦の中でどう生きるのかに注目したいところです。
この記事で参照した情報は、小説家になろう掲載の原作『大ハズレだと追放された転生重騎士はゲーム知識で無双する』の本文、講談社の単行本紹介文、そしてテレビアニメ公式サイトのストーリー情報です。
漫画版の細かなコマ割りや台詞は、ヤンマガWebやコミックDAYSで本編を確認してください。
まとめ|追放された転生重騎士の魔物は「攻略法を知る価値」を描くための存在
最後に、この記事のポイントをまとめます。
エンブリオは、ブリキナイトを〈リペア〉で復活させ、目玉を魔法発動時しか開かない、前衛と後衛の連携を試すボスでした。
成金ラーナは、防御力200に対してHP2という極端な数値と、4メートルの通路という地形まで含めて、手順を知る者だけが倒せる金策モンスターとして作られています。
存在進化は、追い詰めた側が不利になるレアイベントであり、〈夢の主〉の場合は冒険者の死骸と魔石を喰らうことが条件の土台になっています。
そしてボスの並びは、知識で勝てる相手から、知識が通じない相手、誰かが条件を操作した相手へと移り変わっています。
エルマがこれらのボスを倒すために使ったスキルの組み合わせは『追放された転生重騎士 エルマのスキル考察|死線の暴竜コンボが格上を倒す理由』で詳しく解説しているので、あわせて読んでみてください。
追放された転生重騎士はゲーム知識で無双するをコマで読み返すなら
ここで書いた読み方を頭に入れて読み返すと、同じ場面でも見えてくるものが変わります。DMMブックスなら試し読みから電子で読めます。
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