黙示録の四騎士259話考察|ゼルドリスが夢で託した民と目覚めたエリザベス

黙示録の四騎士

※この記事は『黙示録の四騎士』259話「暴走の果て」のネタバレを含みます。ネタバレ注意です。
黙示録の四騎士259話「暴走の果て」は、カオス・ランスロットに散ったゼルドリスが、夢の中で兄メリオダスに魔界の民とランスロットを託す回でした。
魔界の滅亡、奈落の門、そして最後に目を覚ましたエリザベス。
この記事では、ゼルドリスが残した言葉の意味と、メリオダスの今の状態、そしてラストのエリザベスは本当にエリザベス自身なのかを考察します。
なお、前提となる258話の内容は黙示録の四騎士258話考察|ランスロットの「限界」とゼルドリス最後の言葉で詳しくまとめています。

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黙示録の四騎士259話あらすじ|奈落の門が閉じ、魔界が滅んだ

259話の扉には、幼いメリオダスとゼルドリスがベンチに並んで座る姿が描かれています。
添えられたアオリは「兄弟の絆は変わることなく」。
そして柱には「魔神王ゼルドリス散る」「魔界も滅ぼされた今、兄メリオダスは一体」という言葉が並びました。
258話のラストで粉々に切り刻まれたゼルドリスは、やはり戻ってきませんでした。
本編は、鎖が飛び交うなかで奈落(アビス)の門が閉じていく場面から始まります。
民を逃がした奈落と、魔界とのつながりが断ち切られていく。
その向こうでは、ゲルダが涙を流し、ゼルドリスの姿が重なるように描かれます。
一方の魔界では、カオス・ランスロットの斬撃が見開きいっぱいに走り、残っていた魔物たちもろとも大地が吹き飛ばされていきます。
サブタイトルの「暴走の果て」は、ランスロットが我に返ることではなく、魔界そのものが滅びるという結末を指していました。
事前予想では「果て」をランスロット自身の変化と読んでいましたが、実際に描かれたのは、暴走が行き着いた先に何も残らなかったという光景でした。

夢の中のエリザベスとホーク|「様」付けをめぐるいつもの日常

場面は一転して、メリオダス、エリザベス、ホークの三人が並ぶ穏やかな光景に変わります。
エリザベスは、ディアンヌから「様」を付けずに呼んでほしいと言われたことを話します。
それを聞いたメリオダスは、あいつらしいと納得します。
するとホークが、俺のことは様付けで呼んでいいぜと割り込みます。
メリオダスはすかさず、残飯豚野郎が何様のつもりかねと返しました。
前作『七つの大罪』を読んできた人なら、思わず笑ってしまうやり取りだったと思います。
ただ、この場面が温かければ温かいほど、読者にはそれが現実ではないことがわかってしまいます。
エリザベスは228話でパーフェクトタイム(神々の領域)を発動した代償で眠りにつき、249話では「おそらくもう二度と目を覚まさない」と告げられています。
ホークもまた、249話で屋根裏にシルエットが映っただけで、本格的な再登場は果たしていません。
二人がそろってメリオダスのそばにいるこの光景は、メリオダスが取り戻したいと願っている日常そのものなのです。
もう一つ気になるのは、この夢にホークが登場したことです。
ホークは前作で煉獄と現世を行き来した、数少ない「境界を越えた者」でした。
249話考察では、屋根裏のシルエットを、眠り続けるエリザベスを救う伏線ではないかと読みました。
死者となったゼルドリスが生者であるメリオダスの夢に入り込んでくる直前に、境界を越えられるホークが姿を見せている。
偶然の配置ではなく、夢と現実、生と死の境目が揺らぎ始めている合図だったのかもしれません。

ゼルドリスとの再会|「すまない、邪魔するぞ」

その日常に「兄者」という声が割り込みます。
声の主はゼルドリスでした。
光がはじけた暗闇のなかで、メリオダスはエリザベスとホークの姿を探します。
エリザベス、ホーク、と呼びかけたところで、メリオダスは思い出します。
そうだったな、エリザベスはもう、と。
夢の中でさえ、メリオダスは現実を忘れきれていません。
この一言だけで、メリオダスがどれほど深く傷ついているかが伝わってきます。
そこへ現れたゼルドリスに、メリオダスは「ゼル」と声をかけます。
ゼルドリスは「すまない、邪魔するぞ」と応じました。
兄の夢に踏み込むことを詫びる、いかにもゼルドリスらしい律儀な一言です。
扉絵の幼い兄弟と、この場面の二人の距離感は、前作の確執を越えた今の関係をよく表していると感じました。

「魔界が滅んだ」|カオス・ランスロットに滅ぼされた魔神族の故郷

二人が並んで海を見つめる場面で、ゼルドリスは告げます。
魔界が滅んだ、と。
メリオダスは、待て、お前は無事なのかと問い返します。
ゼルドリスは自分のことには答えず、民たちは奈落へ避難させた、ゲルダもいると伝えます。
そして、兄者、民のことを頼めるかと続けました。
嘘だろと言葉を失うメリオダスに、ゼルドリスは事実だと言い、混沌に支配されたランスロットによってだと明かします。
驚くメリオダスに、ゼルドリスはやれやれ、何も知らんのかとあきれつつ、気持ちはわからんでもないがなと付け加えます。
ここで注目したいのは、メリオダスが魔界の異変もランスロットの現状も知らなかったという点です。
リオネスの国王であり、ランスロットが王様と慕ってきた相手でありながら、メリオダスは外の世界の情報から切り離されていました。
エリザベスのそばで動けなくなっていた249話以降のメリオダスの姿が、ここにそのままつながっています。
ゼルドリスの「気持ちはわからんでもない」という一言も見逃せません。
ゼルドリス自身、ゲルダを失っていた長い時間、周りが見えなくなるほど一つの願いに縛られていました。
だからこそ、兄が外の世界から目をそらしていたことを、責めるのではなく理解できたのでしょう。

「魔神王の座は兄者にこそふさわしい」|奈落の門と民を託した意味

ゼルドリスは、一度閉じた奈落の門は、魔神王と同等の力を持つ者でなければ開くことはできないと説明します。
メリオダスは、だったらお前がと言いかけます。
しかしゼルドリスは、俺は魔神王の器じゃなかった、魔神王の座は兄者にこそふさわしいと答えました。
この言葉は、ゼルドリスが自分の死を受け入れていることを示しています。
民は奈落に逃げ延びたものの、門が閉じた以上、魔神王に並ぶ力を持つ者が開けなければ外へは出られません。
その役目を、ゼルドリスは兄に託したのです。
258話考察では、シュバルツが「父王を超える王になられる」と涙を流した場面を取り上げました。
民を逃がし、ひとりで脅威の前に立ったゼルドリスは、読者から見れば立派な魔神王でした。
それでも本人は「器じゃなかった」と言う。
魔界を守り切れなかった責任を、最後まで自分ひとりで背負おうとする姿に、ゼルドリスの誠実さがにじんでいます。

「あいつを救ってやってくれ」|ゼルドリスがランスロットを責めなかった理由

メリオダスは、ランスロットの話は本当なのかと尋ねます。
ゼルドリスの答えは、恨み言ではありませんでした。
最後に戦士としてあれほどの強者と戦えて本望だ、まさに最強と呼ぶにふさわしい男だ、と。
そして、兄者、あいつを救ってやってくれと続けます。
かつての俺のように、恋人を人質に取られてもがき苦しんでいる、と。
前作のゼルドリスは、ゲルダとの再会を盾に取られ、父である魔神王に従うしかなかった過去を持ちます。
258話でキャスがギネヴィアを人質にゼルドリスを牽制したとき、ゼルドリスはランスロットの中に、かつての自分の姿を見ていたのでしょう。
自分を殺した相手を「救ってやってくれ」と頼めるのは、同じ苦しみを知っている者だけです。
258話の「希望を捨てるな、必ず自分を取り戻せ」という言葉と合わせると、ゼルドリスは最期まで一度もランスロットを敵として扱わなかったことになります。

メリオダスの「無理だ」|三千年をエリザベスに捧げた男の限界

しかし、メリオダスの答えは「無理だ」でした。
今の俺にはとてもそんな気力はない。
俺は三千年間エリザベスのためだけに生きてきた、そのエリザベスはもう、と。
258話のサブタイトルは「限界」でしたが、259話で限界を迎えていたのはメリオダスのほうでした。
前作の主人公であり、どんな絶望的な状況でも前に出てきたメリオダスが、弟の頼みを正面から断る。
この場面は、黙示録の四騎士におけるメリオダスの状態の悪さを、これ以上なくはっきり示しています。
三千年という時間は、メリオダスにとって呪いを解くための旅であり、エリザベスと生きるための時間でした。
その中心にいたエリザベスが目を覚まさない以上、メリオダスには立ち上がる理由そのものが見つからないのです。
ここで前作を思い出すと、メリオダスの落ち込み方の理由がもう一段見えてきます。
前作のメリオダスは、エリザベスが何度死んでも転生してくる呪いのなかで、三千年を過ごしてきました。
死に別れるたびに深く傷つきながらも、また必ず会えるという前提だけは残っていたのです。
しかし呪いが解けた今、エリザベスに次はありません。
目を覚まさなければ、それで終わり。
三千年で初めて、再会の約束がない別れを突きつけられている。
そう考えると、今のメリオダスが弟の頼みすら受け止められないのも、無理のないことだと感じます。
だからこそ、そんなメリオダスを動かせるのは、同じように恋人を失う痛みを知るゼルドリスの言葉しかなかったのでしょう。

ゲルダの受け売り|「エリザベスならなんと言うだろうな」

そんな兄に、ゼルドリスは、ああ、よくわかるさと寄り添います。
そのうえで問いかけます。
エリザベスならなんと言うだろうな、自分の力で兄者を守ったことを後悔しているとでも、と。
そして少し照れたように、これはゲルダの受け売りだと明かしました。
エリザベスの想いを無駄にするなよ。
このまま何もしなければ、すべてが無に帰す。
だから頼んだぞ、メリオダス。
ここでゼルドリスが「兄者」ではなく「メリオダス」と名前で呼んだことに、強い意味を感じます。
弟として甘えるのではなく、ひとりの王として、対等な立場で後を託したのでしょう。
去っていくゼルドリスに、メリオダスは「行くな」と叫びますが、その声は届きませんでした。
最後までかっこいいまま去っていったゼルドリスの姿は、魔界編の締めくくりにふさわしいものでした。

目覚めたエリザベスは本物か|「ちゃんとベッドで眠らなくちゃ」の違和感

メリオダスが目を覚まし、夢かとつぶやいたところで、声がかかります。
随分うなされていたみたい、ちゃんとベッドで眠らなくちゃダメじゃない。
声の主は、ベッドの上で体を起こしたエリザベスでした。
二度と目を覚まさないはずのエリザベスが目覚めたことは、本来なら喜ぶべき出来事です。
それでも、この場面には引っかかるところがあります。
一つ目は、エリザベスの態度があまりにも普段どおりであることです。
長い昏睡から覚めたばかりの人が、まず相手の寝方を注意するでしょうか。
二つ目は、タイミングです。
ゼルドリスが「このまま何もしなければすべてが無に帰す」と言った直後に、都合よくエリザベスが目覚めています。
ここから考えられる可能性は三つあります。
一つ目は、ゼルドリスの死や夢を介した何らかの力が働き、エリザベス本人が本当に目覚めた可能性です。
二つ目は、メリオダスがまだ夢の中にいる可能性です。
三つ目は、エリザベスの体を別の何者かが動かしている可能性です。
キャスは、ランスロットの体の内側に潜み、ギネヴィアを人質にするなど、他者の体や想いを利用することをためらわない存在でした。
最も弱っているメリオダスの心を、最も大切な人の姿で揺さぶる。
キャスのやり方を考えると、三つ目の可能性も捨てきれません。
もちろん、一つ目の可能性を信じたい気持ちもあります。
ゼルドリスは「エリザベスの想いを無駄にするな」と言いました。
エリザベスが神々の領域を使ってまで守ったものを、メリオダスが受け取り直した瞬間に、その想いが形になって戻ってきた。
そう読めば、あの何気ない一言も、三千年連れ添った夫婦らしい会話として、これ以上ない再会の場面になります。
本物の目覚めか、それとも罠か。
どちらに転んでも、メリオダスが再び動き出すきっかけになることだけは間違いなさそうです。

255話から259話を振り返る|魔界編はゼルドリスが兄に道をつなぐ物語だった

259話で、255話から続いた魔界編はひとつの区切りを迎えました。
255話「惨劇の魔界」で、魔界に現れたランスロットは「俺を殺してくれ」と叫びました。
256話では、ゼルドリスが凶星雲で反撃し、魔神の王としての力を示します。
257話では黒御雷でカオス・ランスロットを撃破し、怨嗟のインデュラが封印しました。
258話「限界」では、その封印がわずか3分で破られ、ゼルドリスは切り刻まれます。
そして259話「暴走の果て」で、魔界が滅び、ゼルドリスの想いはメリオダスへと渡されました。
こうして並べると、魔界編は「ゼルドリスがランスロットを倒す話」でも「ゼルドリスが敗れる話」でもなかったことがわかります。
民を逃がす時間を稼ぎ、ランスロットに希望の言葉を残し、最後に兄の背中を押す。
ゼルドリスは5話をかけて、止まっていたメリオダスを再び物語の中心へ戻すための道をつないだのです。
個人的には、前作で兄に置いていかれた弟が、今作では兄を前に進ませる側に回ったという構図に、胸が熱くなりました。

独自考察|260話「復活の日」と「魔神王と最高神の二人分」

ここからは、259話を読んで考えた独自の視点です。
次回260話のサブタイトルは「復活の日」と予告されています。
258話でキャスは、混沌を封印するなら本物の魔神王と最高神の二人分くらいの力がないと無理だと言っていました。
そして259話で、ゼルドリスは魔神王の座は兄者にこそふさわしいと言い残しています。
奈落の門を開けるには、魔神王と同等の力が必要です。
つまりメリオダスは、民を救うためにも、ランスロットを救うためにも、もう一度魔神王に並ぶ力を取り戻す必要があるということです。
一方のエリザベスは、最高神の娘であり、神々の領域を使えるほどの女神族の力を持つ存在です。
魔神王の力を受け継ぐメリオダスと、最高神の力を持つエリザベス。
キャスが「二人分」と言った条件は、まさにこの夫婦二人を指しているように見えます。
260話の「復活の日」は、エリザベスの復活であると同時に、気力を失っていたメリオダスが戦士として復活する日になるのではないでしょうか。
ただし、目覚めたエリザベスがキャスに操られていた場合、この「二人分」の条件そのものが罠として使われる危険もあります。
キャスにとって最も脅威となる二人を、キャス自身が先に押さえにきたという読み方もできるからです。
エリザベスが本物かどうかは、260話のいちばんの注目点になりそうです。
※本記事は講談社「週刊少年マガジン」およびマガジンポケット掲載の『黙示録の四騎士』259話までの内容と、260話の予告サブタイトルをもとに考察しています。

まとめ|黙示録の四騎士259話はゼルドリスからメリオダスへのバトン

黙示録の四騎士259話「暴走の果て」の考察をまとめます。
カオス・ランスロットの暴走の果てに、魔界は滅び、ゼルドリスは命を落としました。
ゼルドリスは夢の中で、奈落の民とランスロットの救済を兄メリオダスに託します。
しかしメリオダスは、エリザベスを失った喪失感から「無理だ」と答えるほど追い詰められていました。
ゲルダの受け売りという形で背中を押したゼルドリスの言葉と、直後に目覚めたエリザベス。
260話「復活の日」で、メリオダスが再び立ち上がるのか、そして目覚めたエリザベスが本物なのかに注目です。
キャスが口にした「魔神王と最高神の二人分」の条件については、黙示録の四騎士 混沌の封印方法|「魔神王と最高神の二人分」の意味を考察でも詳しく考察しているので、あわせて読んでみてください。

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