アニメ「追放された転生重騎士はゲーム知識で無双する」で、作品の人気を支えているのがエルマとルーチェの二人のやり取りです。
「ルーチェが仲間になってから一気に面白くなった」という声は多く、二人は恋愛関係に進むのかという点も気になるところです。
この記事では、原作なろう版で確認できる会話と心情描写をもとに、エルマとルーチェが相棒なのかヒロインなのか、そして恋愛に発展しそうかを考察します。
ルーチェがクラインのパーティを追放された経緯や〈豪運〉の仕組みについては『追放された転生重騎士 ルーチェ考察|元パーティ追放の本当の理由と豪運の正体』で詳しくまとめているので、この記事では二人の関係性に絞って書いていきます。
アニメ未放送の原作第三章・第四章の描写にも触れるため、ネタバレ注意でお読みください。
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エルマとルーチェの出会い|「一目惚れですか?」から始まった噛み合わない二人
二人の関係を考えるうえで、まず押さえておきたいのが最初の会話です。
アニメでは第6話「道化師ルーチェ」で描かれた出会いのあと、原作では酒場で今後の話し合いをする場面があります。
ここでルーチェは顔を赤らめながら、エルマが自分に一目惚れしたから助けてくれたのかと聞いてしまいます。
自分は可愛いからそれしかないと思った、でも最初はお友達からで、とまで先回りして話すのです。
エルマの反応は、何の話だと聞き返して頭を抱えるだけでした。
さらに次の話では、エルマが〈燻り狂う牙〉の資金集めのために「俺にはお前しかいない」と頼みます。
ルーチェはこれも告白のように受け取って取り乱しますが、エルマは何を言っているのかと首をかしげるだけです。
この時点で、二人の関係の基本形はほぼ完成しています。
ルーチェは何でも恋愛の方向に読み取り、エルマは何でもビルドと効率の方向に読み取るのです。
同じ言葉が二人の間でまったく違う意味になるすれ違いが、この作品の会話の面白さの土台になっています。
個人的に面白いと感じるのは、このすれ違いが一方的なボケとツッコミになっていない点です。
序盤はルーチェが勘違いしてエルマが困る形でしたが、物語が進むとこの役割が少しずつ入れ替わっていきます。
もう1つ、出会いの時期で見逃せないのが、エルマの側もルーチェを読み違えていたことです。
原作第一章第三十話「窮地と活路」で、エルマはエンブリオの前からルーチェを逃がそうとします。
気が強い方には見えなかったので、強敵を前にすれば動けなくなると思っていたからです。
ところがルーチェは引き返してきて、自分を必要だと言ってくれた人を見殺しにして逃げるくらいなら、とっくに冒険者を辞めていると言い切ります。
エルマは心の中で、彼女を見誤っていたと認めました。
ルーチェがエルマの言葉を恋愛に読み違えたように、エルマもルーチェの中身を戦力の数字で読み違えていたわけです。
お互いの読み違いが一度ずつ正されたところから、二人の本当の関係が始まったと筆者は考えています。
ルーチェのツッコミが増えた理由|自信をつけるほどエルマに言い返すようになる
ファンの間でよく話題になるのが、ルーチェが回を追うごとにエルマへのツッコミを増やしていく変化です。
原作でその転機がはっきり見えるのは、第一章第三十四話「報酬額」です。
エルマはレアドロップの売却益を、ルーチェが八、自分が二の割合で分けようとします。
ルーチェは机を叩いて立ち上がり、計画したのも体を張ったのもエルマなのに、その八二はどこから出てきたのかと食ってかかります。
エルマがゲームでは幸運担当の取り分が多いのが普通だと説明しても、それはどの界隈の取り決めなのかと突っ込み返すのです。
出会った頃のルーチェは、分け前を減らしてでもパーティに置いてほしいと頭を下げる少女でした。
その彼女が、今度は「もらいすぎだ」と相手に言い返しているわけです。
言い返せるようになったのは、エルマが自分を対等に扱ってくれると分かったからだと考えています。
第二章に入ると、ツッコミはさらに遠慮がなくなります。
第二章第四話「笑顔が溢れる洞窟」では、黒鋼装備の儲けが少ないと残念がるエルマに、金銭感覚が壊れてきていないかと真顔で指摘します。
第一章の頃は、エルマの方がルーチェに「もう少し緊張感を持ってほしい」と心の中でぼやいていました。
第二章では、常識を外れていくエルマを、ルーチェの方が現地の感覚で引き戻す役になっているのです。
筆者は、この役割の入れ替わりこそが二人の関係が深まった証拠だと見ています。
ゲーム知識という特殊な物差ししか持たないエルマにとって、この世界の普通の感覚を持ったルーチェの指摘は、自分のズレを測るための大事な目盛りになっています。
重騎士と道化師は「二人で一つのビルド」|防御とHP、幸運とクリティカルの補い合い
二人の関係が面白いのは、会話だけでなく戦い方の上でもお互いの欠けたところを埋めている点です。
重騎士のエルマは防御力とHPが高い一方で、素早さに欠け、攻撃手段も限られています。
道化師のルーチェはHPが低く打たれ弱い反面、素早さがあり、〈豪運〉による幸運力でクリティカル率やドロップ率を大きく引き上げられます。
原作のエンブリオ戦で、ルーチェは自分には速さがある、それこそエルマの倍近くあると言って戦いに残りました。
足の遅い重騎士と、紙のように脆いが速い道化師は、片方だけでは格上の相手に届きません。
二人そろって初めて、受け止める役と決める役がそろうわけです。
この補い合いが分かりやすく形になるのが、原作第三章です。
第三章第二十五話「ルーチェの強み」では、エルマが〈影踏み〉で魔物の動きを止め、その背中にルーチェが飛びかかって〈竜殺突き〉で仕留めます。
さらに第三章第四十話「エピローグ」では、ルーチェの方から〈シールドバッシュ〉で自分を撃ち出してほしいと頼み、エルマの盾から射出されたルーチェが敵の背中に一撃を入れる場面まで出てきます。
盾で敵を押し返す技を、相棒を前に送り出すための発射台として使っているのです。
エルマのスキル構成そのものは『追放された転生重騎士 エルマのスキル考察|死線の暴竜コンボが格上を倒す理由』で詳しく扱っていますが、ここで注目したいのは、この連携をルーチェ自身が提案している点です。
作戦を立てるのはいつもエルマでしたが、第三章では、どう使ってほしいかをルーチェが自分から言えるようになっています。
ビルドの面でも、ルーチェは守られる側から、エルマの盾を使いこなす側へ変わっていると言えます。
お義父様呼びと「デートのようなもの」|ルーチェの好意はどこまで本気か
では、二人は恋愛関係に進むのでしょうか。
ルーチェ側の好意を示す描写は、原作に何度も出てきます。
分かりやすいのが、第一章の最後でエルマの父アイザスを「お義父様」と呼ぶ場面です。
アイザスとのやり取りの詳細はルーチェ考察の記事に譲りますが、この場面には続きがあります。
ルーチェは、頭を下げないのが仕事だという貴族のあり方は好きになれないと言い、エルマにはそうならないでほしいと頼みます。
そのうえで、何かあったら自分が一緒に謝ってあげると付け加えるのです。
結婚になぞらえる冗談のあとに、実際には家族のような寄り添い方を見せている点が、このセリフの肝だと感じます。
そして好意がもっとはっきり見えるのが、原作第四章第二話「装備事情」です。
装備を新調するための買い物を、ルーチェは「デート」と言いかけて頬を赤らめ、「デートのようなもの」と言い直します。
エルマが選んだ服を着て感想を求めるルーチェに、エルマは綺麗だ、よく似合っていると素直に答えました。
ルーチェはすごく幸せだと舞い上がりますが、エルマはすぐに装備の性能を熱く語り始めてしまいます。
最後にルーチェは、性能を語っているときの方が生き生きしている、今だけは中身より見た目を評価してほしかったとこぼします。
この場面で大事なのは、エルマが「綺麗だ」と言ったこと自体です。
出会った頃のエルマなら、ルーチェの言葉の意味にすら気づかなかったはずです。
少なくとも、相手の期待に応える言葉を返せる程度には、エルマの側も変わってきています。
ただし、なろう版で公開されている第四章第十八話までを読んだ範囲では、エルマがルーチェに恋愛感情を自覚する描写や、二人がはっきり交際する展開は見当たりません。
エルマの関心の中心は、相変わらず強くなることと、この世界を脅かす勢力への対抗にあります。
ここからは筆者の推測ですが、二人の関係はすぐに恋愛として決着するのではなく、ルーチェの好意とエルマの鈍さの往復を続けながら、少しずつ距離が縮まっていく形になると予想しています。
作品のテンポを考えても、恋愛の決着を急ぐより、このやり取りそのものを長く楽しませる方向で描かれる可能性が高いと考えています。
ケルト・メアベル加入で二人の距離感はどう変わる?原作第二章・第三章から考察
第2クールでは、ケルトとメアベルが加わって4人で行動する場面が増えていきます。
新キャラ2人の人物像は『追放された転生重騎士 アニメ第2クール考察|ケルト・メアベル登場とどこまで描かれるか』で紹介しているので、ここでは二人の距離感への影響に絞ります。
原作第二章第三十四話「班分け」で同じ班になったとき、ルーチェは先輩風を吹かせるケルトを威嚇するようににらみつけています。
エルマを軽く見る相手に対して、ルーチェが真っ先に敵意を向けているわけです。
一方で、メアベルの回復役としての話には素直に感心し、ドロップ品を分けましょうかと気をつかう場面もあります。
ルーチェの態度は、エルマにとって味方か敵かで分かりやすく変わります。
エルマの側の変化も見ておきます。
原作第三章第二十二話「作戦会議」で、エルマは次の大規模依頼にケルトとメアベルを誘った理由を説明します。
当初は自分とルーチェの二人で道中をしのぐ手立ても考えていたものの、二人だけでは対応しきれない場面があり得ると判断したからでした。
この考え方からは、エルマがパーティを「俺とルーチェ」を中心にした単位で組み立てていることが分かります。
ケルトとメアベルは、二人の穴を埋めるために迎え入れた仲間であって、ルーチェの代わりではないのです。
面白いのは、仲間が増えても二人の役割が崩れないことです。
第二章の最後では、仲が良くなったケルトとメアベルを見て、ルーチェが苦笑いする場面があります。
4人の中に、エルマとルーチェ、ケルトとメアベルという二組の掛け合いができあがっていくのです。
原作第三章の大規模依頼でも、エルマとルーチェは前衛、ケルトとメアベルは後衛という形で配置されています。
筆者は、4人パーティになったことで、かえってエルマとルーチェの「二人で一つ」という関係がはっきりしたと考えています。
二人きりのときは当たり前だった連携が、他の組み合わせと並ぶことで、特別なものとして見えるようになるからです。
第2クールのアニメでも、ケルトとメアベルの掛け合いが増えるほど、エルマとルーチェのやり取りが引き立つ構成になると予想しています。
独自視点|ルーチェはエルマにとって「この世界の物差し」になっている
最後に、二人の関係について個人的に一番大事だと考えている点を書いておきます。
それは、ルーチェがエルマにとって、この世界を基準にした物差しの役割を担っていることです。
エルマは前世でゲームを遊び尽くした知識を持っていますが、その知識は時にこの世界の常識から大きくずれます。
八二の分配も、数千万ゴルドの金銭感覚も、ゲームの基準では正しくても、この世界の住人から見れば明らかにおかしいものです。
そのずれを最初に、しかも遠慮なく指摘してくれるのがルーチェです。
原作第二章第二話「〈百足坑道〉」では、エルマほど詳しければ冒険者のスキル相談でも大成功しそうだと言いかけて、そうなったら自分が要らなくなると青ざめる場面があります。
ルーチェ自身は、自分がエルマにとって必要な存在かどうかを気にし続けています。
けれど、ゲーム知識だけで突き進みかねないエルマを人間の側につなぎ止めているのは、ほかでもないルーチェのツッコミです。
恋愛に進むかどうかは原作でもまだ答えが出ていませんが、エルマにとってルーチェが替えのきかない相棒であることは、すでに物語が十分に示していると考えています。
なお、アニメの話数とサブタイトルはTVアニメ公式サイト(TVアニメ「追放された転生重騎士はゲーム知識で無双する」公式サイト)と配信サイトの各話あらすじ、原作の会話や描写は小説家になろう版『大ハズレだと追放された転生重騎士はゲーム知識で無双する』の本文をもとに確認しています。
漫画版(講談社)やアニメ版では、描写の順番やセリフが変わっている場合があります。
まとめ|エルマとルーチェは恋愛より先に「替えのきかない相棒」になった
エルマとルーチェの関係は、恋愛に読み取るルーチェと、効率に読み取るエルマのすれ違いから始まりました。
物語が進むにつれてルーチェは自信をつけ、常識からずれていくエルマにツッコミを入れて引き戻す役になっていきます。
戦い方の面でも、防御とHPの重騎士と、幸運と素早さの道化師が補い合い、原作第三章ではルーチェ自身が連携を提案するまでになりました。
お義父様呼びや「デートのようなもの」など、ルーチェ側の好意を示す描写は多いものの、原作で確認できる範囲ではまだ恋愛として決着していません。
ケルトとメアベルが加わった4人パーティの中でも、二人の「二人で一つ」という関係はむしろ際立っていきます。
ルーチェという人物そのものをもっと知りたい人は、『追放された転生重騎士 ルーチェ考察|元パーティ追放の本当の理由と豪運の正体』もあわせて読んでみてください。
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