『追放された転生重騎士はゲーム知識で無双する』では、15歳で受ける〈加護の儀〉で授かるクラスが、その人の一生をほぼ決めてしまいます。
主人公エルマが授かった重騎士は「不遇クラスを超えた欠陥クラス」とまで言われますが、物語を追っていくと、ほかのクラスにもそれぞれ別の生きづらさがあることが見えてきます。
この記事では、作中に登場するクラスを一覧表で比べたうえで、重騎士より不遇なクラスはあるのか、そしてこの世界で「ハズレ」とされる基準は何なのかを考察します。
原作小説の第二章以降の内容やアニメ第2クールで描かれる場面にも触れるため、ネタバレ注意でお読みください。
なお、重騎士がハズレ扱いされる理由と〈加護の儀〉の仕組みそのものについては『追放された転生重騎士 世界観・設定まとめ|重騎士と加護の儀を解説』で詳しくまとめています。
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追放された転生重騎士のクラス一覧|剣聖・道化師・狩人・僧侶・魔剣士の比較表
まず、作中で名前と性能が確認できたクラスを表にまとめます。
載せているのは、TVアニメ公式サイトのキャラクター紹介と、小説家になろう版の本文で確認できたものだけです。
| クラス | 主な登場人物 | 得意分野 | 作中の評価 |
|---|---|---|---|
| 重騎士 | エルマ | HPと防御力、敵の攻撃を引き付ける守り | 世間では大ハズレ。ゲームでは最強と呼ばれたインチキクラス |
| 剣聖 | マリス | 攻撃力と素早さ、分かりやすく凶悪な剣技 | 大当たり。ただし防御力がかなり低く、高レベルでは自由度の狭さが出る |
| 魔剣士 | ヒルデ、カロス | 攻撃力と魔法力、反動付きの高火力スキル | 決闘では敵なし。燃費が悪くパーティと方針がずれやすい |
| 道化師 | ルーチェ | トリッキーな戦い方、〈豪運〉による幸運力 | 素のステータスが低いピーキーなクラス。〈豪運〉持ちは探索役として最高 |
| 狩人 | ケルト | 機動力と遠距離攻撃、索敵 | 器用貧乏寄り。HPと防御力が低く決定打になれない |
| 僧侶 | メアベル | 回復 | 集団戦の肝。ただし分け前では損をしやすい |
| 盗賊 | リース | 斥候 | ルーチェの元パーティの一員として登場 |
| 鍛冶師 | ベルガ | ダンジョン産金属の加工 | 高レベルの人材は貴族に召し抱えられるほど貴重 |
このほか原作では、第一話の説明で魔法剣士や黒魔術師というクラス名が挙がり、第三章では氷魔法と剣術で戦う氷晶騎士や、エルマが聖騎士と見立てた騎士系統の相手も登場します。
聖騎士についてはエルマが〈聖光の刃〉というスキルから推測している段階なので、表には入れていません。
表を並べてみると、どのクラスにも明確な弱点が書き込まれていることが分かります。
この作品のクラスは、当たりとハズレがきれいに分かれているのではなく、どれも何かを捨てて何かを得る設計になっているのです。
当たりクラスの剣聖と魔剣士|分かりやすい強さの裏にある弱点
この世界で一番分かりやすい当たりクラスが、エドヴァン伯爵家が代々受け継いできた剣聖です。
原作では、攻撃力と素早さが桁外れに高く、スキルも分かりやすく凶悪なものが多いクラスとして説明されています。
初期に覚える〈金剛連撃〉はクラスの代名詞ともいえる攻撃スキルで、ゲームでもこれ頼みで戦う剣聖が多かったとエルマは振り返っています。
一方で、剣聖は強さが分かりやすい方向に特化している分、キャラビルドの自由度が狭いとも書かれています。
レベルが高くなると工夫の余地がある他クラスに見劣りし、さらにHPはまずまずでも防御力がかなり低いという弱点まであります。
マリスとの決闘でエルマが勝てたのは、この防御力の低さを突ける計算式を知っていたからです。
決闘の具体的なスキルの流れは『追放された転生重騎士 エルマのスキル考察|死線の暴竜コンボが格上を倒す理由』で解説しています。
もう1つの強クラスが、ヒルデとカロスの魔剣士です。
攻撃力と魔法力の両方が高く、デメリット付きの高火力スキルで短期決戦に持ち込むのが基本戦術で、ルーチェが決闘では敵なしと怯えるほどのクラスです。
ところがA級冒険者のカロス自身が、魔剣士は強いが燃費が悪く、倒せる魔物の幅が広いせいでパーティの方針とずれやすいと語っています。
放っておけばギルドで孤立し、無茶をして命を落とす。
カロスがヒルデを弟子にしたのは、同じクラスとしてその未来が見えていたからだと原作では描かれています。
当たりクラスと呼ばれる剣聖と魔剣士でさえ、高すぎる攻撃性能そのものが別の弱点を生んでいるわけです。
重騎士より不遇?狩人ケルトの「器用貧乏」と嫌われ役の宿命
重騎士より不遇なのではないか、という声が一番集まりやすいのが、アニメ第2クールから登場するB級冒険者ケルトの狩人です。
原作のエルマは、狩人を器用貧乏寄りのクラスと評しています。
強みは機動力と遠距離攻撃ですが、攻撃力に欠けるため補佐寄りの戦い方が前提で、決定打にはなれません。
そのうえHPも防御力も低く、狭いダンジョンでは逃げ道を失いやすいという弱点を抱えています。
ケルト本人も、狩人の本分は広いダンジョンの外だとこぼしていました。
持っているスキルも〈聴覚強化〉〈第六感〉〈擬死〉と、索敵や生存のためのものが中心です。
〈擬死〉は死を偽装して魔物のターゲットを近くの冒険者に移せるスキルで、使えば仲間から恨まれることが避けられません。
そして狩人の一番つらいところは、機動力で仲間をカバーできる分、トドメを取るか譲るかを露骨に選べてしまう点です。
譲ればいいように使われ、一度でも横取りすれば嫌われる。
エルマは、どうせ嫌われるならと割り切って徹底したのがケルトの生き方だと読み解いています。
それでも原作のケルトは、墓所の探索で自分の索敵スキルを隠していた理由を、それを知られたら一生先陣に送り込まれていたからだと明かします。
弱点を見せれば使い潰され、長所を見せても危険な役目を押し付けられる。
狩人という立場で生き延びるには、手の内を隠すしかなかったわけです。
重騎士は世間からの評価が低いだけで、真価を知っていれば最強になれるクラスでした。
狩人は、性能を正しく理解していても、パーティの中で嫌われ役を背負わされやすい構造を持っています。
その意味では、社会的に生きづらいクラスとして重騎士以上に不遇だという見方には、十分な根拠があると考えています。
僧侶メアベルと道化師ルーチェ|回復役と支援役が損をする分配ルール
ケルトと同じ大規模依頼に参加するのが、僧侶のC級冒険者メアベルです。
回復役は集団戦闘の肝で、原作ではわざわざ回復クラスだからという理由で依頼に呼ばれています。
それでも僧侶が恵まれているとは言い切れません。
この大規模依頼では、揉めないように、余程の強敵でなければ魔物を倒した人間がドロップアイテムを得るという決まりになっていました。
エルマはこのルールについて、回復役や支援役のクラスばかりが損をする形になると指摘しています。
実際にケルトはメアベルに対して、回復役は取り分が少なくて困っているだろうと持ちかけ、回復先を自分に向けさせようとしました。
ただし僧侶には、ギルドから回復クラス向けの特別報酬が出るという救済があります。
メアベルが固定パーティを持ちながら単独で大規模依頼に潜り込むことが多いのも、報酬面が安定しているからだと説明されています。
つまり僧侶は、分配ルールでは損をしても、ギルドという外の仕組みが穴を埋めてくれるクラスです。
この救済がないのが、ルーチェの道化師です。
道化師は素のステータスが低く、エルマも初見でピーキーな性能の珍しいクラスだと感じています。
ルーチェの〈豪運〉はパーティ全体のドロップ率を左右するのに、トドメを刺した人が報酬を得るルールの中では、その貢献はどこにも数えられません。
レイドの最中に、ドロップは自分のスキルのおかげなのにとルーチェがこぼす場面は、この構造を一言で表しています。
ルーチェが元パーティを追放された経緯は『追放された転生重騎士 ルーチェ考察|元パーティ追放の本当の理由と豪運の正体』で掘り下げています。
加護の儀の「ハズレ」の基準|ゲームの評価とこの世界の評価のずれ
では、この世界で「ハズレ」と判定される基準は何なのでしょうか。
原作の第一話で、エルマはこの世界では分かりやすい強クラスがもてはやされ、晩成型やテクニカルなクラスの評価が低いと気づきます。
エルマ自身はその理由を、クラスの解析と検証が進んでいないためだろうと推測しています。
ただ、ここで1つ見落とされがちな点があります。
ゲームの〈マジックワールド〉と違い、この世界では死ねばそれまでです。
鍛冶師ベルガは、防御型や速度型のクラスはレベルが上げにくいと語り、力に見合わない武器を求めれば命を落とすと若いエルマたちを叱りました。
ゲームの評価は、やり込んだ末にどこまで強くなれるかという最終到達点で決まります。
この世界の評価は、序盤で死なずにレベルを上げられるかという生存率で決まっているのです。
その物差しで見れば、序盤から敵を倒せる剣聖や魔剣士が当たりで、ソロでレベルを上げにくい重騎士や道化師がハズレになるのは、単なる無知ではなく一定の合理性がある判断だと言えます。
この物差しを裏づけるのが、戦闘クラスではない鍛冶師の扱いです。
ダンジョン産の金属を加工するには鍛冶師クラスの専用スキルツリーが必要で、高レベルの鍛冶師は貴族に召し抱えられたり王都で大きな店を構えたりしていると原作では説明されています。
冒険者の都ラコリナを半日歩き回っても、エルマたちが見つけられたのはせいぜい【Lv:45】程度の鍛冶師ばかりでした。
エルマ自身も、死ねばそれまでのこの世界では、レベルの高い鍛冶師はゲーム以上に貴重な人材になっているはずだと考えています。
前線に出なくても役割がはっきりしていて、確実に価値を生むクラスは高く評価される。
この世界は、強さよりも「確実さ」に値段を付けていると見ることもできます。
そこに貴族社会の事情が重なります。
エルマの父アイザスはクラスを人を映す鏡と考え、重騎士を臆病な怠け者のクラスと決めつけました。
生存率の物差しに、家の名誉という物差しまで加わった結果、重騎士は欠陥クラスの烙印を押されたわけです。
アイザスの考え方の背景は『追放された転生重騎士 エドヴァン家考察|父アイザスの真意とマリスとの決闘』でも整理しています。
独自考察|この世界の不遇はステータスではなく「分け前の仕組み」で決まる
ここまでのクラスを並べると、1つの共通点が浮かび上がります。
不遇とされるクラスは、ステータスが低いクラスではなく、パーティの報酬の分け方と噛み合わないクラスだということです。
ドロップも経験値もトドメを刺した人に入るのなら、得をするのは決定打を持つ剣聖や魔剣士です。
守る重騎士、回復する僧侶、運を上げる道化師、仲間をカバーする狩人は、どれだけ働いても数字に残りにくい役割を担っています。
その中で、僧侶にはギルドの特別報酬があり、重騎士にはエルマのゲーム知識がありました。
道化師のルーチェはエルマと組んで初めて〈豪運〉の価値を認められ、狩人のケルトは嫌われ役を引き受けることで自分の取り分を確保していました。
原作のエルマは、ラコリナの冒険者を見ていて、魔剣士も狩人も僧侶も皆、自分の有利不利を隠してどうにか立ち回っていると感じています。
この一文は、クラスの不遇がスペック表ではなく、人間同士の取り引きの中で生まれることを示していると考えます。
そう考えると、重騎士より不遇なクラスはあるのかという問いへの答えも変わってきます。
性能の面では、重騎士はゲームで最強と呼ばれたクラスなので、不遇ではありません。
分配の仕組みの面では、救済のない道化師と、嫌われ役を背負う狩人のほうが、重騎士よりずっと不遇な立場に置かれています。
エルマが仲間を集めて自分で分け前を決められるパーティを作っていくことは、クラスの不遇そのものを書き換える行為なのかもしれません。
なお、クラスの名称や紹介はTVアニメ公式サイト(TVアニメ「追放された転生重騎士はゲーム知識で無双する」公式サイト)のキャラクター紹介、各クラスの性能や作中の評価は小説家になろう版『大ハズレだと追放された転生重騎士はゲーム知識で無双する』の本文をもとに確認しています。
まとめ|追放された転生重騎士のクラスは「何を捨てたか」で比べると分かりやすい
『追放された転生重騎士はゲーム知識で無双する』に登場するクラスは、剣聖、魔剣士、重騎士、道化師、狩人、僧侶など、どれも長所と引き換えに明確な弱点を抱えています。
当たりとされる剣聖は防御力が低く、魔剣士は燃費の悪さからパーティで孤立しやすいクラスです。
重騎士より不遇ではないかと言われる狩人は、器用貧乏な性能に加えて、トドメの取り合いで嫌われ役になりやすい立場にあります。
〈加護の儀〉のハズレの基準は、ゲームのような最終的な強さではなく、序盤で生き残れるかどうかと、貴族社会の分かりやすい名誉で決まっていました。
そしてこの世界の本当の不遇は、ステータスではなく、働きが報酬に結びつかない分け前の仕組みから生まれていると考えています。
ケルトとメアベルがどんな人物なのか、第2クールでの活躍が気になる人は『追放された転生重騎士 アニメ第2クール考察|ケルト・メアベル登場とどこまで描かれるか』もあわせて読んでみてください。
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