アニメ『追放された転生重騎士はゲーム知識で無双する』第18話「鍛冶師ベルガ」は、2026年10月29日に放送されました。
ミスリルの加工を頼むだけのことがなぜここまで面倒になるのか、戦闘のない回で何が進んだのかを、原作第二章の本文から考察します。
原作の先の展開にも触れるため、ネタバレ注意でお読みください。
なお、ベルガの発言を手がかりにしたクラス評価の基準については『追放された転生重騎士 クラス一覧考察|重騎士より不遇なクラスはあるのか』で詳しくまとめています。
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アニメ18話「鍛冶師ベルガ」のあらすじ|B級昇格とミスリル加工の順番
公式サイトのあらすじによると、ギルド長ハレインとの面会を終えたエルマとルーチェは、B級冒険者への特例昇格を果たします。
そしてダンジョンで手に入れたミスリルを加工するため、高いスキルを持つ鍛冶師ベルガの元を訪れます。
公式のあらすじはここまでで、依頼が成立するかどうかまでは書かれていません。
原作小説では、第二章の第十八話から第二十一話がハレインとの面会、第二十二話「鍛冶師ベルガ」と第二十三話「説得」が依頼の場面にあたります。
アニメ本編がどこまで描いたかは公式あらすじからは判断できないため、この先のベルガとのやりとりは原作の描写として扱います。
ハレインとマルチダの紅茶|面会で決まったB級昇格の中身
原作のエルマたちはD級冒険者でしたが、ハレインはその場でB級への昇級を認めます。
C級より上は実力よりも実績や活動内容が重視されるため、これは飛び級の特例です。
受付嬢のマルチダが慌てて止めに入っても、ハレインは侯爵家の当主から直々に任命された自分の判断に異を唱える者はいないと取り合いません。
このマルチダは、面会の場面で紅茶の笑いも担当しています。
原作のハレインは存在進化の報告に動揺してカップを落とし、そのあとも無意識に紅茶を探してしまいます。
マルチダがそれを指摘したうえ、魔石を持ってくるよう命じられた際に新しい紅茶まで運んできたため、ハレインは赤面します。
このやりとりがアニメのどの話数に入ったかは確認できていません。
ただ原作で読む限り、切れ者に見えた相手の素が出るこの笑いは、それだけ存在進化がギルド長にとって想定外だったことも伝えています。
その存在進化の不気味さについては『追放された転生重騎士 アニメ15話考察|ロックセンチピード存在進化の黒幕は誰か』で掘り下げています。
昇格で得たものも、肩書きだけではありません。
原作では、冒険者の階級が身分の保証になるうえ、隠しパラメーターの名誉点を通じてスキルツリーの割り振り上限にも関わると説明されています。
細かい依頼を積み重ねる手間が消えたことは、効率を重視するエルマにとって大きな収穫です。
そしてこの昇格は、次の場面でさっそく別の使い道を見せることになります。
鍛冶師ベルガが見つからない理由|高レベル鍛冶師はなぜ街に残らないのか
原作のエルマが最初にぶつかるのは、ベルガの性格より前に、頼める相手がいないという問題です。
ダンジョン産の金属を加工するには、鍛冶師クラスの専用スキルツリーが必要です。
ところが高レベルの鍛冶師は貴族に召し抱えられるか、王都で大きな店を構えていることが多いと語られます。
冒険者の都ラコリナを半日歩いて、ようやく聞き出せたのが【Lv:60】のベルガの情報でした。
その評判も、機嫌を損ねれば金をいくら積まれても仕事を受けない偏屈な老人というものです。
店があるのは表通りから離れたあばら家で、一流の仕事場にはとても見えません。
ベルガ本人も、別の依頼人の話をする中で「儂が金で動くなら、こんなところに住んでない」という趣旨のことを怒鳴っています。
筆者は、この性格こそがベルガが街に残っている理由だと考えています。
金や地位で動く腕利きは、貴族や王都に先に持っていかれます。
そうなると、冒険者の都で依頼できる高レベル鍛冶師は、金でも権力でも動かなかった人に絞られていくはずです。
つまり面倒な店主に当たったのは運が悪かったからではなく、面倒でなければそもそも街にいないという構造の結果だと読めます。
ベルガの依頼条件|お金より先に見られた3つのこと
では原作のベルガは、依頼人の何を見ていたのでしょうか。
1つ目は、金で片付けようとしないことです。
エルマはいざとなれば金で頼むつもりでしたが、魔剣士の冒険者が金を理由に追い返された話を先に聞いたことで、同じ失敗を避けられました。
穏便に持ち上げようとした社交辞令のほうは、その場で見抜かれて説教の材料になっています。
2つ目は、話を聞く落ち着きです。
長い説教を遮らず聞き、そのうえで依頼内容を聞いてから信念に照らして判断してほしいと筋を通したことが、エルマの評価につながります。
3つ目が、実力の裏付けです。
エルマがインゴットを出すと、ベルガはミスリルを見るのは生涯で二度目だと息を呑み、鍛冶師の顔と信念の間で揺れます。
ゴーレムを倒して手に入れたと聞いても信じなかったベルガを黙らせたのが、ハレインに認められたばかりの冒険者証でした。
特例昇格の直後にベルガの回が置かれているのは、この順番に意味があるからだと考えます。
D級の二人組のままなら、同じインゴットを出しても、話はもっとこじれていたはずです。
ちなみにハレインもベルガも、エルマの〈鉄の鎧〉には厳しい目を向けます。
ベルガが黒鋼の鎧も頼まれて胸をなで下ろす場面は、この人が口の悪さの割に依頼人の命を気にしていることをよく表しています。
料金の面でも、その姿勢は数字に出ています。
ミスリルの剣、黒鋼の鎧、刻印石の埋め込みの三つを合わせて、ベルガの請求は四百万ゴルドです。
一方で完成した〈ミスリルの剣〉の市場価値は五千百五十万ゴルドで、材料のインゴットと刻印石を足した四千五百万ゴルドを六百五十万ゴルド上回ります。
剣一本で増えた価値より、鎧まで含めた請求額のほうが低いわけで、金で動かないという言葉はただの強がりではありません。
ミスリルの剣とエルマのビルド|命を削らずに届く火力の土台
原作のエルマにとって、この剣は見栄のための買い物ではありません。
もともとエルマは、ミスリルをルーチェのナイフに回すつもりでいました。
そこへデスアームドから〈毒蜈蚣の小刀〉がドロップしたため、ミスリルは自分の剣に使えるようになったという流れです。
完成した剣は推奨装備【Lv:70】で、攻撃力は+46です。
〈破壊の刻印石〉は武器の攻撃力上昇値を30%伸ばす効果なので、逆算すると石なしでは+35前後だったことになります。
原作第二章末尾のステータス表では、エルマの攻撃力は【Lv:71】で66+46と表記されています。
素の数字に対して七割近い上乗せで、重騎士の低い攻撃力を考えると、この一本の影響はかなり大きいと言えます。
ここで思い出したいのが、〈死線の暴竜〉と〈不惜身命〉の組み合わせです。
エルマの決定打はHPを大きく削り、防御まで捨てて初めて出せるもので、本人も今のステータスで積極的に使いたくはないと認めています。
コンボの仕組みは『追放された転生重騎士 エルマのスキル考察|死線の暴竜コンボが格上を倒す理由』で解説しています。
筆者は、ミスリルの剣の本当の意味は、その博打をしなくても届く火力の底上げにあると考えています。
装備分にスキルの倍率が乗るかどうかまでは本文で明記されていませんが、少なくとも普段の殴り合いで稼げるダメージは確実に増えます。
ベルガが嫌ったのは、武器で下駄を履いて英雄気取りになることでした。
エルマの場合は格上を倒した実績が先にあり、その後で武器が追いついた形なので、人が先だというベルガの順番にも実は反していません。
実際、エルマはのちにこの剣を失えば挑めるダンジョンのランクが一つ落ちると計算しています。
武器一本が狩場の格を決めるなら、面倒な店主を説得する手間にも十分な見返りがあるわけです。
ルーチェとエルマの「売る・売らない」|原作では立場が入れ替わる
戦闘のない場面では、手に入れた品を売るかどうかのやりとりも見どころです。
エルマが売って稼ごうとしてルーチェが止めるという印象で語られることもありますが、原作をたどると少し形が違います。
まずベルガを探す途中で、〈毒蜈蚣の小刀〉を売ればおいしいものが毎日食べられると言い出すのはルーチェで、もったいないと止めるのはエルマです。
エルマが止められる側に回るのは、依頼の完成を待つ間のことです。
裏の店で〈気合の拳〉の〈技能の書〉が安く売られているのを見つけ、買って高く売ろうと考えたところをルーチェに諭されます。
つまり手に入れたものを売る話ではなく、転売のために買うかどうかの話です。
アニメでこの場面がどう整理されたのかは確認できていません。
面白いのは、利益が二千万ゴルドになりそうだと聞いたとたん、止めていたルーチェのほうが揺らぐところです。
エルマの資産運用はゲームの遊び方そのものですが、技能の書の売買はこの世界ではグレーで、捕まれば貴族の出自まで割れて実家と侯爵家の火種になりかねません。
ベルガの説得と同じく、ゲームでは正解だった行動が人間社会の中では通らないという話がここでも続いています。
原作の次の展開はヒルデとの決闘|B級とミスリルが呼び込む相手
ここからは、アニメ第18話のあらすじより先の原作の内容です。
第19話以降のあらすじは、執筆時点で公式サイトの一覧に出ていないため、アニメの進み方は目安として読んでください。
原作では、ベルガが追い返していた魔剣士の正体がヒルデだと分かります。
公式サイトでも「黒き炎刃」カロスの一番弟子を自称するB級冒険者として紹介されている人物です。
剣の受け取りに来たエルマの前で、ヒルデは三千万ゴルドで売れと迫り、話は決闘にもつれ込みます。
立会人としてやって来るのがマルチダで、面会の紅茶の相手が、ここで物語の要所に戻ってきます。
エルマは正面からの力比べではなく、魔剣士というクラスの慎重さを突く作戦で勝負をつけます。
賭けの条件は、ヒルデが負ければ剣の市場価値分を支払うというものでした。
そこでベルガが明かす市場価値が五千百五十万ゴルドで、ヒルデは想定をはるかに超える額を背負うことになります。
最終的に五千万ゴルドで手を打ったヒルデは、金を作るために自分の武器を手放します。
金さえあれば武器は買えると言い張った相手が、金のために武器を失うわけで、ベルガの信念への答えとしてこれほど皮肉な決着はありません。
そのあとカロスが現れ、話は〈嘆きの墓所〉の大規模依頼へ進みます。
公式サイトでケルトとメアベルがエルマたちとレイドクエストに挑むと紹介されていることとも、つながる流れです。
ミスリル装備は持っているだけで一目置かれるとアイテムの説明文にあります。
筆者は、第18話を魔物と戦わない休憩回ではなく、エルマたちが魔物より厄介な人間の世界から見える存在になる回だと捉えています。
放送日・サブタイトル・あらすじ・キャラクター紹介はTVアニメ公式サイト(TVアニメ「追放された転生重騎士はゲーム知識で無双する」公式サイト)の情報、原作の描写は小説家になろう版『大ハズレだと追放された転生重騎士はゲーム知識で無双する』第二章の本文をもとに確認しています。
漫画版での描かれ方は、講談社のコミックスやコミックDAYSで本編を確認してください。
まとめ|鍛冶師ベルガへの依頼が面倒なのはラコリナの構造そのものだった
アニメ第18話「鍛冶師ベルガ」は、公式あらすじではB級への特例昇格とミスリル加工の依頼をつなぐ回です。
原作を読むと、高レベル鍛冶師が貴族や王都に流れる以上、街に残る腕利きが金で動かない偏屈な人になるのは自然なことだと見えてきます。
ベルガが見ていたのは支払い能力ではなく、話を聞く落ち着きと実力の裏付けで、特例昇格の冒険者証がその最後の一押しになりました。
完成する〈ミスリルの剣〉は、命を削るコンボに頼らなくても届く火力の土台としてエルマのビルドを支えます。
その剣とB級の肩書きは、原作では次の相手であるヒルデまで呼び込むことになります。
ケルトやメアベルが加わる今後の流れが気になる人は『追放された転生重騎士 アニメ第2クール考察|ケルト・メアベル登場とどこまで描かれるか』もあわせて読んでみてください。
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