『追放されたチート付与魔術師は気ままなセカンドライフを謳歌する。』、通称『チー付与』の主人公レイン・ガーランドの力が、武器や防具などあらゆるものに付与できる「強化ポイント」です。
しかもその強化は、レインの意思ひとつでいつでも解除できます。
この記事では、チー付与の強化ポイントとはどんな仕組みなのか、付与と解除がどう使われてきたのか、そして作中の最強キャラは誰なのかを、レイン・リリィ・エルシー・暗殺の母・半分の実力を比べながら考察します。
漫画版の中盤以降の展開に触れるため、ネタバレ注意でお読みください。
なお、強化ポイントの細かいルールが書かれている原作小説と、アニメの原作になった漫画版の違いについては、チー付与 原作と漫画の違いとは?「99割違う」小説版との差を考察【ネタバレ注意】で詳しくまとめています。
チー付与の強化ポイントとは?レインだけが持つ付与魔術
まずは、強化ポイントの基本を公式の紹介から整理します。
アニメ公式サイトでは、レインは冒険者ギルド『王獣の牙』で働いていた強化付与魔術師と紹介されています。
武器や防具など、あらゆるものに強化ポイントを付与して強化でき、その付与は任意のタイミングで解除できる、というのが公式の説明です。
作品の正式タイトルにある「俺は武器だけじゃなく、あらゆるものに『強化ポイント』を付与できるし、俺の意思でいつでも効果を解除できる」という長い一文は、この能力の説明そのものになっています。
講談社の漫画1巻の紹介文では、追放されたレインがこれまで強化していた魔力を返してもらい、適当な銅の剣に付与したところ「強化ポイント+10000」のチート装備が生まれたとされています。
同じ紹介文で、レインは「戦闘経験ゼロの魔術師」とも書かれています。
つまりレインの強さは、本人の腕前ではなく、付与した物の性能から生まれているのです。
強化ポイントの仕組み|原作小説で語られた数値と上限のルール
強化ポイントの細かいルールは、小説家になろうで連載されている原作小説の序盤で説明されています。
原作小説によれば、強化ポイントはレインが自分の魔力を錬成して生み出す力です。
レイン自身の魔力量は人並み程度で、毎日少しずつポイントを込めては自然回復を待ち、モンスターを倒して得た魔力も変換して、7年かけて地道に積み上げてきました。
追放の直後にレインが手持ちのポイントを表示させると、その数は「13033」に達していました。
強化ポイントは物に込めておかないと、時間とともに周囲へ発散して目減りしていくという性質もあります。
そのためレインは、回収したポイントの一時的な置き場所として、手持ちの銅の剣と服に付与することにしました。
ここで面白いのが上限のルールです。
原作小説では、強化ポイントは一つの物につき最高で+100までしか付けられないとされていました。
ところがレインが数値の桁を二つ間違えて入力すると、銅の剣に+10000がそのまま付いてしまいます。
残りは布の服に付与され、服は+3033になりました。
何年も前に試してできなかったことを、できないと思い込んだまま試していなかっただけで、実際にはレインの付与魔術がいつの間にか成長していたのです。
平凡な剣に「切れ味+10」を付ければ名剣に変わるという世界で、+10000がどれほど桁外れかは言うまでもありません。
講談社の原作小説1巻の紹介文でも、安い銅剣は伝説級の剣に比肩する破壊力を持ち、布の服はオリハルコン級の防御力を持つと紹介されています。
「いつでも解除できる」の使い方|512人分の強化を一瞬で回収
強化ポイントのもう一つの柱が、解除です。
原作小説の第1話で、レインは『王獣の牙』に所属する冒険者512人の武器と防具にかけていた強化ポイントを、すべて解除します。
必要なのは、レインの意思と呪言一つだけでした。
距離も人数も関係なく、遠く離れた相手の装備からでも一瞬で強化を消せるという点が、この能力の恐ろしさです。
原作小説では、解除の直後に『王獣の牙』の冒険者たちの攻撃がモンスターに通じなくなり、鑑定で調べると強化の数値がすべてゼロになっていたという場面が続きます。
アニメ版でも、第1話の公式あらすじで、追放されたレインが付与してきた強化ポイントを全て解除し、それを使って冒険者としてのセカンドライフを始める流れが描かれています。
第2話の公式あらすじでは、リリィを奪おうとする王獣の牙のコーネリアスに対し、レインがメンバーの強化付与を全て解除したことを告げて真っ向から対立します。
続く第4話では、強化が解除されたことを知った王獣の牙が、弱体化を恐れてレインを強引に連れ戻そうとします。
解除は一度きりの仕返しではなく、その後の物語をずっと動かし続ける引き金になっているのです。
漫画版では、強化を失った王獣の牙が評判を落として崩れていき、その流れが後の半グレ誕生にまでつながっていきます。
「あらゆるものに付与」の意味|服から自動車へ、魔科両立というタイトル回収
タイトルの「武器だけじゃなく、あらゆるもの」という部分は、漫画版で特に大きな意味を持つようになります。
漫画版の世界には、銃やパチンコ、自動車といった科学の産物が存在し、科学に頼るほど魔力が落ちるというルールがあります。
そのなかで講談社の漫画9巻の紹介文は、レインが自動車に強化付与をして「魔科両立」を成し遂げたと紹介しています。
魔力と科学は両立しないという世界の前提を、あらゆるものに付与できる力で突破したわけです。
武器でも防具でもない自動車に付与するこの展開は、読者の間でタイトル回収として語られています。
漫画6巻の紹介文でも、強敵サイクロプスに立ち向かうため、レインが「ある物」に強化付与する場面が予告されています。
何に付与するかを選ぶこと自体が、レインの戦術になっているのです。
竜族編を描く19巻の紹介文には「レインが強化付与魔術師として、本領発揮!」、最新22巻には「この難局、強化付与で切り開け!」とあり、物語が進むほど付与の使いどころが勝負の鍵になっていることが分かります。
強化付与の弱点|素の能力、耐えられる器、そして反動
強化ポイントは万能に見えますが、作中ではいくつもの弱点が描かれています。
一つ目は、レイン本人の能力です。
原作小説のレインは、付与魔術以外の魔法がまったく使えず、剣の腕も身体能力も底辺に近いと自分で認めています。
武器と防具だけがチート級で、扱う本人は普通のスペックという構図は、漫画版の「戦闘経験ゼロ」という紹介にも引き継がれています。
二つ目は、付与する器の問題です。
講談社の漫画2巻の紹介文では、強大な魔力を付与しても耐えられる武器の必要性をレインが感じる様子が描かれています。
安物に大きな強化を込め続けることには限界があり、それが伝説の剣を求めるクエストへとつながっていきました。
三つ目が、反動です。
9巻の紹介文によれば、魔科両立を成し遂げたレインは、その反動で能力が使えなくなってしまいます。
半グレ編のさなかに主人公が最大の武器を失うという展開は、チートの力をただ気持ちよく使わせない漫画版らしい選択だと言えます。
ただし10巻の紹介文には「世界を揺るがす力を手にしたレイン」ともあり、失ったものと引き換えに得たものの大きさもにおわされています。
半グレ編の終盤では、レインが強化付与した布や網で爆風を抑え込もうとする場面もあるとされ、強化付与は再び仲間を守る力として使われていきます。
能力の見せ方の巧みさ|全裸の付与と、ギャグに包まれた危うさ
チー付与の強化ポイントは、能力そのものだけでなく、その見せ方にも作品の個性が強く出ています。
電撃オンラインの紹介記事によれば、原作小説では服に強化ポイントを付与したという一文で済む場面が、漫画版では全裸になって服を地面に置き、正座をして付与するという無駄に細かい描写に変わっています。
アニメ第4話のサブタイトルにも、レインがここまで二回も全裸になってしまったという趣旨の言葉が入っており、服への付与はアニメでも笑いどころとして扱われています。
第2話のサブタイトルにも、強化した服が痛恨の一撃で破壊されるという言葉が並びます。
ここで注目したいのは、このギャグが能力のルールときちんと結びついている点です。
強化ポイントは物に付けるものなので、服に付ければ服が最強の防具になり、その服が壊れたり脱げたりすれば、レインはただの戦闘経験の浅い青年に戻ってしまいます。
全裸になるという笑える絵面は、実はレインの強さがどれだけ装備頼みで、どれだけ危ういものかを、説明抜きで読者に伝えているのです。
数値を間違えて+10000が付いてしまう原作小説の場面も、チートの誕生をうっかりミスとして描くことで、主人公を嫌味のない人物に見せています。
大げさな覚醒シーンではなく、間の抜けた場面で規格外の力を見せる。
この見せ方こそが、チー付与のチート描写が鼻につかない理由だと筆者は考えます。
チー付与の最強キャラは誰?強さを比べる前に押さえたい前提
ここからは、作中の最強キャラは誰なのかを考えていきます。
ただし、チー付与の強さ比べには一つ難しい事情があります。
漫画版の世界では、手の内を知られることが命取りになるため、冒険者は自分の能力を簡単には明かしません。
そのため戦いは、能力の正体を探り合う頭脳戦になりやすく、相性や情報の有無で結果が大きく変わります。
また、科学に触れるほど魔力が落ちるというルールがあるため、同じ人物でも時期や生活によって強さが変わります。
ここでは、公式の紹介と講談社の紹介文、作中の描写から読み取れる根拠をもとに、候補ごとの強みを整理します。
順位を断定するものではなく、あくまで比べるための材料として読んでください。
最強候補の実力比較|レイン・リリィ・エルシー・暗殺の母・半分
レイン・ガーランド|装備込みなら瞬間火力は作中屈指
レインの強みは、付与した装備の性能です。
+10000の銅の剣は、原作小説では一振りで大地と空間まで裂く威力として描かれ、布の服はオリハルコン級の防御力を持ちます。
一方で本人の戦闘技術は低く、能力を失えば一気に無力になるという、振れ幅の大きい強さです。
リリィ・フラムベル|史上最年少のS級という肩書き
アニメ公式サイトでは、リリィは史上最年少でS級に認定された有名な冒険者と紹介されています。
経験が豊富でパーティーをまとめるしっかり者でもあり、レインに足りない戦闘の経験と判断力を持つ人物です。
2年前のクエスト失敗のトラウマで剣を振るえなくなっていたことが、序盤の彼女の実力を見えにくくしていました。
エルシー・ゾラ|元S級の雷使い
青の水晶のギルドマスターであるエルシーは、漫画版では元S級の冒険者で、電気を操る能力の持ち主です。
講談社の11巻紹介文は、エルシーと半分の一騎打ちを「最強激突す」と打ち出しており、作中でも最上位の実力者として扱われていることが分かります。
ただし現役を離れていたブランクや、科学の影響を受けやすい体質といった弱点も抱えています。
暗殺の母|自称X級、強化した服の上から殴り飛ばす腕力
アニメ公式サイトでは、暗殺の母は代々暗殺稼業を営む有名な暗殺者で、ミラベルの育ての親と紹介されています。
漫画版では自らを「X級」と称し、強化付与した服を着たレインを拳一発で遠くまで殴り飛ばしています。
オリハルコン級の防御の上から人を吹き飛ばせる時点で、その腕力は規格外です。
さらに忍術という奥の手を持ちながら、勝てない相手とは戦わないという損得勘定で動くしたたかさも備えています。
半分|空気を操る応用力と、エルシー戦の結果
アニメ公式サイトでは、半分は王獣の牙に所属する冒険者で、本名は不詳と紹介されています。
漫画版の半分は空気を自在に操り、圧縮した空気の弾から防御のドーム、さらには雷の誘導まで、一つの能力を何通りにも使い分けます。
エルシーとの一騎打ちは、読者の整理では半分が上回る形で決着したとされています。
直接対決の結果という意味では、半分を最強候補の筆頭に挙げる見方にも十分な根拠があります。
独自考察|レインは「最強」ではなく「最強を作る人」
ここからは筆者の考察です。
ここまでの根拠を並べると、一対一の素の実力で最強に近いのは、エルシーを上回ったとされる半分か、強化した防御の上からレインを殴り飛ばした暗殺の母だと考えられます。
竜族編で登場する竜族のように、人間同士の比較とは別の物差しが必要な存在もいるため、最強の座は物語が進むたびに更新されていくでしょう。
では、レインはどこに位置づけられるのでしょうか。
筆者は、レインを最強の一人ではなく、周りの誰かを最強にできる人だと考えています。
強化ポイントは、レイン本人ではなく物に宿ります。
だからこそ、かつて王獣の牙が大陸五大ギルドの一つに数えられたように、レインが付与する側に立てば、集団そのものの強さが一段跳ね上がります。
そして解除できるということは、その強さがいつでも取り上げられる預かり物だということでもあります。
王獣の牙が崩れたのは、レインの強化を自分たちの実力だと思い込み、預かり物を返す日が来るとは考えなかったからです。
タイトルの「残った人たち大丈夫?」という問いは、強化を借りていた側への皮肉であると同時に、強さとは誰とつながっているかで決まるという、この作品の答えでもあるのでしょう。
そう考えると、レインが能力を失う半グレ編は、レイン個人の強さではなく、レインが青の水晶の仲間とどうつながっているかが試された章だったと読めます。
アニメ版でも、付与と解除の一つひとつが誰との関係を変えるのかに注目すると、強化ポイントの場面がより面白く見えてくるはずです。
本記事の作品情報とキャラクター紹介は、TVアニメ『追放されたチート付与魔術師は気ままなセカンドライフを謳歌する。』公式サイトと講談社の単行本紹介文、小説家になろう掲載の原作小説の記載をもとにしています。
原作漫画は業務用餅さんによる作品で、講談社「月マガ基地」で連載されています。原作小説は六志麻あささんの作品です。
強さの比較やレインの能力の意味に関する部分は、筆者個人の考察であり、公式設定ではありません。
まとめ
チー付与の強化ポイントは、武器や防具だけでなく、服や自動車まであらゆるものに付与でき、レインの意思ひとつでいつでも解除できる付与魔術です。
原作小説では13033ポイントの回収と+10000の銅の剣、漫画版では魔科両立とその反動という形で、能力のルールそのものが物語を動かしてきました。
最強キャラは条件しだいで変わりますが、一騎打ちの実績なら半分、規格外の腕力なら暗殺の母が有力で、レインは仲間を最強にする側の存在だと筆者は考えています。
レインが能力を失ったまま挑んだ半グレとの戦いについては、半グレ編の考察記事でまとめているので、あわせて読んでみてください。
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