追放された転生重騎士 つまらない?|盾なし重騎士とご都合主義の真相

その他作品考察

アニメ「追放された転生重騎士はゲーム知識で無双する」は第2クールに入り、面白いという声と、つまらないという声がはっきり分かれる作品になっています。

この記事では、知恵袋やレビューサイトで挙がっている「重騎士が不遇職なのに強すぎる」「防御特化なのに盾を持たない」「必要なスキルが都合よく使える」といった批判を、原作小説の設定と照らし合わせて検証します。

原作の第一章から第二章の展開に触れるため、ネタバレ注意でお読みください。

なお、アニメの回想や前回のあらすじが長いというテンポの問題は『追放された転生重騎士 アニメのテンポ賛否|回想と前回のあらすじが長い理由』で詳しくまとめているので、この記事では設定の矛盾に絞って書いていきます。

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追放された転生重騎士がつまらないと言われる理由|知恵袋に並んだ批判

まず、批判の中身を整理しておきます。

Yahoo!知恵袋には、この作品の設定に違和感があるという質問が投稿されていて、そこには多くの論点がまとめて挙がっています。

主なものは、重騎士が不遇職とされているのに強力なスキルを覚える矛盾、防御特化なのに盾を持たない、あるいは手放そうとする点、その場に必要なスキルが都合よく使える点です。

さらに、ゲーム知識が役に立たない場面があるのはタイトルと違う、『防振り』と似ている、アニメで同じ場面が何度も流れて尺稼ぎに見える、という指摘も並んでいます。

これに対して回答側からは、ゲームの世界では重騎士の強さが知られていたが、転生後の世界ではまだ研究が進んでいないという説明が寄せられていました。

この説明は方向として正しいのですが、盾やスキルの話までは答えきれていません。

そこでこの記事では、論点を一つずつ原作の記述で確かめていきます。

追放された転生重騎士の評価|あにこれ・Filmarks・めちゃコミの賛否

次に、レビューサイトの評価を見ておきます。

アニメ版は、あにこれの作品ページが執筆時点の検索結果で63.9点、Filmarksアニメでは平均3.3と、どちらも中ほどの数字です。

Filmarksの低評価レビューには、カメラワークが動きすぎて見づらい、引き伸ばしが多くテンポが悪いといった声が目立ちます。

一方で、漫画版のめちゃコミックのレビューは126件で平均4.1と高く、スキルやアイテムの説明が細かい点や、不遇な状況から成長していく展開が評価されていました。

原作小説のページには、ストーリーにも設定にも独自性がないという厳しいレビューもあり、なろう系の定番に見える点で好みが分かれていることが分かります。

つまり、映像の作りに対する不満と、設定そのものへの疑問は、別々の問題として分けて考える必要があります。

この記事が扱うのは後者です。

重騎士はなぜ不遇職なのか|マジックワールドでも欠陥クラスと呼ばれていた

一つ目の疑問は、強いクラスなのになぜ不遇職と呼ばれるのか、という点です。

原作の第一話によると、重騎士はエルマの前世のゲーム〈マジックワールド〉でも、サービス開始からしばらくは欠陥クラスと言われていました。

ほかの防御クラスより応用が利かず、活躍の幅が狭く、攻撃性能が低すぎてレベルもまともに上げられない、というのがその理由です。

レベル上げの効率が何より重視されるゲームだったため、自分から攻撃できない重騎士はゲームのコンセプトから見放されているとまで言われていました。

評価が変わったのは、物好きな解析チームが重騎士の性能を徹底的に検証してからです。

その結果、膨大な知識と技量と工夫が必要な代わりに、最強格のクラスを圧倒できるテクニカルなクラスだと分かりました。

しかも、それが判明したのはサービス開始から五年後だと書かれています。

エルマ自身もサブキャラで重騎士を作り、この解析に協力していた人物です。

一方、転生後の世界では、分かりやすく強いクラスがもてはやされ、晩成型やテクニカルなクラスは評価が低いとされています。

エルマはその理由を、クラスの解析と検証が進んでいないためだろうと推測しています。

検証が進まない理由として、原作には〈技能の書〉の流通の話も出てきます。

〈技能の書〉の売買は禁止されていて、手に入れた本人が使う以外は冒険者ギルドが買い取り、貴族などへ流れる仕組みだと説明されています。

エルマは〈破れた魔導書堂〉で、貴族の独占のせいで書そのものが特権化し、値上がりしているのかもしれないと考えていました。

重騎士を完成させるのに必要なスキルツリーが、ハズレクラスを引いた冒険者の手にはまず回ってこないわけです。

試す材料がなければ、検証も進みようがありません。

つまり不遇職というのは、性能が低いという意味ではなく、正しい使い方が発見されていないクラスという意味です。

ゲームでさえ五年かかった発見に、死ねば終わりの世界の住人がたどり着けていないのは、むしろ自然だと言えます。

盾を持たない重騎士の謎|〈城壁返し〉は鎧で受けないと発動しない

二つ目の疑問が、防御特化なのに盾を持たないという点です。

これは設定を読むと、かなりはっきり説明がついています。

序盤のエルマの装備は〈下級兵の剣〉と〈鉄の鎧〉で、盾は持っていません。

そして重騎士の要である〈城壁返し〉は、相手の近接攻撃の直撃を受けてダメージを封殺できた場合に、防御力に応じたダメージを返すスキルです。

原作の第三話でも、エルマは飛びかかってきたラーナをわざと鎧の胸部で受け止めてから〈城壁返し〉を放っています。

エルマが後に〈狂鬼の盾〉を手に入れた場面では、〈城壁返し〉の発動条件は鎧で受けることなので盾では満たせない、と明記されています。

つまり序盤の重騎士にとって、盾で攻撃を防ぐことは攻撃の機会を捨てることでした。

攻撃力の低い重騎士が敵を倒す手段は、体で受けて返すことしかなかったわけです。

盾を持たないのは防御を軽視しているからではなく、防御そのものを攻撃に使っていたからだと考えると、矛盾は消えます。

ただし、エルマがずっと盾なしで戦うわけではありません。

〈狂鬼の盾〉を手に入れてからは、盾で受けて衝撃を逃がす技術や〈シールドバッシュ〉を使い分けるようになり、第一章の終盤の装備欄にも〈狂鬼の盾〉が入っています。

鎧で受けて返すか、盾で受けて耐えるか、場面ごとに選ぶ戦い方へ変わっていくのです。

〈狂鬼の盾〉を手放そうとした理由|盾より〈燻り狂う牙〉が優先だった

盾を手放そうとするという指摘も、原作で理由が書かれています。

〈狂鬼の盾〉は大規模依頼のボスから出たドロップ品で、推奨装備レベル40、市場価値は三百万ゴルドの装備です。

エルマは手に入れた時点で、これだけ高額なら売り飛ばすのも視野に入ると考えています。

さらに〈破れた魔導書堂〉で〈技能の書〉の値段を知ったときには、〈狂鬼の盾〉を売っても手持ちと合わせて三百万ゴルド程度にしかならず、レアな書は買えそうにないと計算していました。

エルマにとって最優先なのは、重騎士の必須スキルツリーと位置付けている〈燻り狂う牙〉です。

盾は便利な装備ですが、重騎士を完成させるための資金源として天秤にかけられていたわけです。

防御特化の主人公が盾を売ろうとするのは確かに奇妙に見えますが、エルマの考える重騎士の強さが防御の高さではなく、防御を攻撃に変える仕組みにあると分かれば筋は通ります。

アニメ第16話「不惜身命」(原作第二章)で、エルマが防御力を0にして斬り込んだのも同じ考え方の延長です。

スキルが都合よく使えるのはなぜ?|スキルポイント温存と〈初級剣術〉の正体

三つ目の疑問が、その場に必要なスキルが都合よく使えるという点です。

この作品のスキルは、スキルツリーにスキルポイントを振ることで、その場ですぐに取得できる仕組みになっています。

そしてスキルポイントは一度振ると取り返しがつかない要素で、ゲームでも構成に失敗して引退する人が多かったと書かれています。

だからエルマは、ポイントを使い切らずに残しておく判断を何度もしています。

原作の第一章では、防御面の強化が必要になれば〈重鎧の誓い〉に、攻撃面の強化が必要になれば〈初級剣術〉に、どちらも必要なければ〈燻り狂う牙〉まで取っておく、と方針を立てていました。

アランダエイプ戦でポイントを〈重鎧の誓い〉に全振りしたのも、デスアームド戦で残りのポイントを〈燻り狂う牙〉に注いで〈不惜身命〉を取ったのも、この温存の結果です。

しかも〈不惜身命〉については、リスクが大きいため後回しにするつもりだったと本人が語っています。

都合よく使えたというより、何ポイントで何が取れるかを知っている人が、使わずに残したポイントを最後の手段として切ったと読むほうが正確です。

攻撃が貧弱なのに剣術スキルがある、という指摘についても説明があります。

原作では、スキルツリーにはクラス固定のものと、キャラメイク時にランダムで手に入るものの二種類があるとされています。

エルマの場合、固定なのは重騎士専用の〈重鎧の誓い〉だけで、〈初級剣術〉はランダム枠でした。

エルマ自身は〈初級剣術〉を他クラスの劣化スキルツリーと呼んでいて、重騎士の本領とは考えていません。

ゲーム知識が通じない場面はタイトル詐欺か|存在進化と〈王の彷徨〉

四つ目の疑問は、ゲーム知識が常に役立つわけではなく、タイトルと違うという点です。

これは批判というより、作者が意図して仕込んだ要素だと考えています。

原作の第九話では、存在進化は乱数に左右される部分が大きく、〈マジックワールド〉でも全ての魔物の条件は明らかになっていなかったと説明されています。

ダンジョンマスターが内部を歩き回る〈王の彷徨〉の場面では、エルマがこれはゲームではないと思い直し、死者が出ていることを実感します。

第二章のデスアームド戦では、この世界は完全にゲームと同一というわけではない、という一文まで出てきます。

ゲーム知識は未来の予言ではなく、確率と仕様の知識です。

知識が外れた場面でエルマを救うのはルーチェの機転や〈豪運〉であり、読者の間でも、ルーチェがいなければ何度も死んでいたという声があります。

無双という言葉に、常に圧倒し続ける展開を期待するとずれを感じますが、知識で有利を積み上げながら知識の外で苦戦する物語だと捉えると、タイトルとの距離も納得しやすくなります。

この世界とゲームの関係は『追放された転生重騎士 マジックワールド考察|この世界はゲームそのものなのか』でも掘り下げています。

『防振り』と似ている?|防御特化でも主人公の立ち位置は真逆

『痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。』との類似も、よく挙がる話題です。

防御に特化した主人公が、防御力を武器に勝ち上がるという骨組みは確かに似ています。

ただ、主人公の立ち位置は真逆です。

『防振り』のメイプルは、VRMMOを始めたばかりの初心者で、ゲームの中で予想外の強さを手にしていく物語です。

エルマは、重騎士を五年かけて解析した側の熟練プレイヤーで、しかも舞台は死ねば終わりの現実の世界です。

前者が知らないからこそ生まれる驚きを楽しむ作品だとすれば、後者は知っているからこそ組み立てられる手順を楽しむ作品だと言えます。

両作の比較は別の記事であらためて詳しく扱う予定です。

独自考察|追放された転生重騎士がつまらなく見えるのは不遇が説明で終わるから

ここまで見ると、知恵袋で挙がった設定の矛盾は、ほとんどが原作の中で説明されていることが分かります。

それでも矛盾に見えてしまう理由を、筆者は不遇が描写ではなく説明で済まされている点にあると考えています。

ゲームの中で重騎士が欠陥クラスと呼ばれていた五年間を、視聴者は一度も見ていません。

第一話の時点でエルマは答えを知っていて、重騎士は最初から強いクラスとして画面に出てきます。

そのため、不遇という言葉だけが浮いてしまい、強いのに不遇と呼ばれる矛盾として受け取られやすいのです。

盾を持たない理由も、ポイントを温存する理由も、エルマの頭の中の計算として語られます。

小説では地の文で読めるこの計算が、映像では一瞬で流れたり、長い解説として止まって見えたりします。

前者ではご都合主義に、後者ではテンポの悪さに見えるという、どちらに転んでも損をする構造になっているわけです。

逆に言えば、この作品は設定の穴で評価を落としているのではなく、設定の説明をどう見せるかで評価が割れている作品です。

〈城壁返し〉が鎧でしか発動しないことを知ってから序盤を見返すと、盾なしで体当たりを受け止めるエルマの姿は、無謀ではなく最適解に見えてきます。

知恵袋の質問に、人間兵器になれるクラスなら不遇のはずがない、という指摘がありました。

筆者はこの違和感こそ、作品が視聴者に用意した立ち位置だと見ています。

HPと防御力は最上位だと訴えるエルマに、外れクラスを引いたのは怠慢と性根のせいだと怒鳴った父アイザスも、エルマを追い出したエドヴァン家も、強さの結果だけを見て、強くなるまでの手順を知らない人たちです。

視聴者も同じように、結果としての強さだけを先に見せられているので、この世界の住人と同じ疑問を抱くことになります。

その疑問に原作が一つずつ答えを返していく流れは、エルマが世界の常識を検証で塗り替えていく流れとそのまま重なっています。

違和感を持ったまま見続けた人ほど、答えが出たときの納得が大きくなる作りだと言えるでしょう。

原作の設定まで追う人ほど評価が上がりやすいのは、この答え合わせの楽しさが原作にはっきり書かれているからだと思います。

なお、重騎士の設定と原作の描写は小説家になろう版『大ハズレだと追放された転生重騎士はゲーム知識で無双する』の第一章と第二章、アニメのサブタイトルとあらすじはTVアニメ「追放された転生重騎士はゲーム知識で無双する」公式サイト、批判の論点はYahoo!知恵袋の該当質問、評価はあにこれ、Filmarksアニメ、めちゃコミックの各作品ページをもとに確認しています。

まとめ|追放された転生重騎士のつまらない評価は設定の見せ方で割れている

「追放された転生重騎士はゲーム知識で無双する」がつまらないと言われる理由には、映像やテンポへの不満と、設定の矛盾に見える点の二つがあります。

重騎士が不遇職なのは、ゲームでも解析に五年かかったほど使い方が分かりにくく、転生後の世界ではまだ検証が進んでいないからです。

序盤に盾を持たないのは、〈城壁返し〉の発動条件が鎧で受けることで、盾では満たせないからでした。

〈狂鬼の盾〉を売ろうとしたのは、〈燻り狂う牙〉を手に入れる資金を優先したためです。

スキルが都合よく使えるように見えるのは、取り返しのつかないスキルポイントをあえて温存し、必要な場面で振っているからです。

ゲーム知識が通じない場面は、存在進化のように知識の限界が最初から設定されているため、タイトル詐欺というより物語の仕掛けだと考えています。

批判の多くは原作の中で答えが用意されていて、それが映像でどう伝わるかによって評価が分かれているのが、この作品の現在地です。

重騎士の設定そのものを順番に確認したい人は、『追放された転生重騎士 世界観・設定まとめ|重騎士と加護の儀を解説』もあわせて読んでみてください。

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